2025年11月23日、シンガポールメディア・聯合早報は、高市早苗首相の発言に端を発する日中関係の悪化により、「日米韓協力と対中関係改善の両立」を掲げる韓国・李在明(イ・ジェミョン)政権がジレンマに陥っていると報じた。
記事は、日中間の摩擦が一時的に韓国に観光分野での「反射利益」をもたらす可能性があるとし、中国の旅行プラットフォームのデータとして、18日の中国発日本行き航空便搭乗率が前の週に比べて12.3%、乗客が10.8%それぞれ減少したと紹介。
また、対立を深めている日中両国が韓国に対して友好的な姿勢を強める「引き込み」を展開しつつあるとも指摘。中国は外交部の報道官が竹島を巡る日韓間の争いで日本を批判することで韓国との「共通認識」をアピールし、日本は日米同盟の枠組み内で、特に駐韓米軍の戦略機能が「台湾有事」にまで拡大された後、日米韓協力の重要性を強調し、韓国に地域安全保障でのより明確な役割を期待していると紹介した。
一方で、日米韓協力の維持、対中経済協力の深化、日韓関係の安定化、経済安全保障の強化というバランスを重視した「実用外交」を掲げている李大統領にとって日中の対立激化はネガティブな要素も帯びていると伝え、特に台湾問題のような敏感な案件で「どちらかを選ぶ」ことを強いられれば厳しい局面に立たされる可能性があると指摘した。
記事は、韓国の専門家からは日中間の対立を利用することで逆にリスクを背負うような状況を回避すべく、慎重な戦略を保つことが必要だとの意見が出ていることを紹介。「原則に基づいた中立を貫き、国益の視点に立って日本や中国との関係を扱い、必要以上に中国を刺激しないようにしながら日米との協力を保つべき、というのが一般的な考えだ」と伝えた。(編集・翻訳/川尻)











