広東省広州市内では4日から7日まで、「スマートが先導し、智慧が共生する」をテーマとする「2025数智科技エコ大会」が開催された。華為技術(ファーウェイ)も多くの新製品やソリューションを出展したが、個別の製品やソリューションの革新性だけでなく、製品群としての「エコシステム連携」を極めて重視していることが特徴だった。

その連携の中核となるのが自社開発した鴻蒙OS6(ハーモニーOS6)だ。中国のIT情報メディアである太平洋科技が伝えた。

スマホ搭載カメラでは、多光スペクトルセンサーを初採用

ファーウェイは中国電信(チャイナテレコム)の重要な協力パートナーとして各種製品やソリューションを出展した。会場で特に注目された製品には、スマートフォンの同社の旗艦製品であるMate 80シリーズがあった。注目点の一つは搭載されている第2世代紅楓(ホンフォン)原色影像システムだった。その一つの特徴は、多光スペクトルセンサーを採用したことだ。

従来型のデジタルカラーカメラは光の三原色(青、緑、赤)のそれぞれの強度を感知して記録する方式だ。多光スペクトルセンサーはさらに多くの波長の光を感知する。そのことで、色合いの再現精度が向上し、より自然な色合いの写真に仕上がるようになった。ファーウェイは初代の紅楓原色影像システムを2024年後半に発売したMate 70シリーズに搭載した。多光スペクトルセンサーを採用したカメラを搭載した量産型のフラッグシップスマートフォンとしては、世界で最も早い事例だった。

第2世代紅楓原色影像システムでは性能をさらに向上させ、精度の高い色彩再現アルゴリズムとAIダイナミックフォト機能によって、例えば生活を記録しようと気軽に撮影した場合でも、プロが撮影したような芸術性を帯びた1枚に仕上がるという。

製造工程でも「二つの難関突破」

Mate 80シリーズは製造技術の面でも二つの飛躍を実現した。一つはフルメタル一体成形ボディ一だ。

従来は金属とガラスや樹脂を組み合わせて筐体(きょうたい)を構成していたが、Mate 80では、これまで困難とされていた筐体全体を金属で一体成形することに成功した。このことで、筐体の強度や耐久性が大幅に向上し、デザイン面でも継ぎ目のない滑らかな外観を実現した。

もう一つは、半導体の光刻技術を応用したメタル・ライトエングレービング微細加工技術だ。これは金属表面に微細なパターンを彫刻する技術であり、光の当たり方によって模様や文字が浮かび上がることを実現した。また、耐摩耗性や手触り感の改善ももたらされた。

ファーウェイの新製品群、ハーモニーOS6を中核にエコシステム連携を構築

Mate 80シリーズは、初めてアウトドア探索モードを導入し、14日間の極限続航と低周波帯の700MHz帯を利用した緊急通信能力を追加した。このことにより、インターネットに接続できない状況でも、低周波帯通信を通じて他の機器との連絡が可能だ。すなわち、アウトドア活動時の生命の安全確保に直結する技術だ。

ハーモニーOS6が製品群の「エコシステム連携」で威力

Mate 80シリーズの特徴は「単体製品としての優秀さ」だけにあるのではない。その鍵となるのがハーモニーOS6だ。例えば、Mate 80で文章を作成する。その後、作成した文章をワンタッチで、ノートパソコンのMateBook Fold 非凡大師に転送する。

このことで、「携帯電話でインスピレーションを入力、パソコンで深い創作を煮詰める」という使い方がシームレスに実現する。

娯楽などの分野でも、携帯電話で鑑賞していた動画の続きを中断なしで大型のスマートスクリーンで再生することができる。音声の場合には、HUAWEI FreeClip 2のスマート音声切替機能と組み合わせれば、台所で音楽を聞きながら料理していて、「居間に移動してちょっと休憩」する場合も、音楽を途切れなく聴くことができる。健康維持では、HUAWEI WATCH Ultimate 2で全天候リアルタイム同期を使えば、スマートウオッチで24時間体制で収集した運動健康データを、スマートフォンその他のデバイスに即座に送信して共有できる。

ハーモニーOS6による製品群の「エコシステム連携」の威力は、自動車分野でも発揮されている。ハーモニーコックピットを採用した問界M9、享界S9、智界R7の3車種では、自動車をソフトとハードを結合したスマート端末と見なし、携帯電話、家庭のその他のスマート機器と車載機器をシームレスで連動できる。

例えばユーザーが携帯電話でナビを設定すると、車に乗った後にルートは自動で車載機に同期される。ユーザーが携帯電話で予約して居間のエアコンを設定すると、車両が自宅まであと500メートルに到達した時に、居間のエアコンは自動的に起動し、室温を快適な範囲に調整する。ユーザーは、スマートフォンを通して、音楽や映像といった娯楽、空調やナビゲーション、車両管理などさまざまな分野で車載機器とそれ以外の機器をシームレスで利用することができる。ファーウェイは家庭を第1の空間、職場を第2の空間、自動車内を第3の空間と位置づけ、ハーモニーOS6を利用することで、三つの空間をシームレスでつなげている。

業界では今も、単一製品の性能向上に焦点を合わせる場合が多いが、ファーウェイはすでに、「個別製品思考」から「製品群のエコシステム思考」に戦略を転換した。ファーウェイは「2025数智科技エコ大会」で、さまざまな出展品を通じて、「全場面型スマートエコ環境」を全体像として示した。

ユーザーが得るものはもはや孤立したスマート端末ではなく、自らの必要に合致し、進化し続けるスマート生活ソリューションだ。(翻訳・編集/如月隼人)

編集部おすすめ