中国で銀行の実店舗網が急速に縮小しています。国家金融監督管理総局の統計によると、2025年に入り銀行の店舗閉鎖が加速しており、12月8日時点で9000店以上の閉鎖が認可されました。

今年上半期だけで、商業銀行の店舗閉鎖数はすでに2024年の年間総数を上回りました。2024年の閉鎖件数は2533店であり、今年の減少ペースがいかに急激かがうかがえます。

背景には、スマートフォンを中心とするデジタル金融サービスの普及があります。スマホ銀行やインターネットバンキングの利用が急増し、従来の店舗で取り扱われる現金取引や窓口業務の需要が大幅に減っています。ある銀行のネットワーク金融部門の担当者は「電子チャンネルの普及により、多くの伝統的な店舗では業務量が顕著に減少している。特に現金業務や基本的な窓口サービスは大きく縮小している」と述べています。

採算面での課題も深刻です。上海大学・上海科技金融研究所の陸岷峰教授は、店舗維持にかかる費用と収益のバランスが崩れていると分析します。単一店舗の年間運営コストは数百万元(100万元は約2200万円)に達する一方、来店客数や窓口業務量は減少が続き、一部の店舗では前年比70%以上落ち込む例もあるといいます。

デジタル化が進む中、各銀行はより効率的な経営体制への転換を迫られています。利用者にとっては便利さが増す一方で、高齢者らを中心に実店舗の需要はなお残っており、金融サービスの公平性の確保が今後の焦点となりそうです。(提供/CRI)

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