高市早苗首相の「台湾有事」発言で中国外交部が11月中旬に日本への渡航を慎重に検討するよう注意喚起を行ってから、韓国やタイなどの周辺国に目を向ける中国人観光客が急増している。日本は海外旅行先トップ10から姿を消し、中国メディアは「日本観光業の来年の春節(旧正月)は極めて厳しい見通し」と伝えた。
中国網が紹介した共産党機関紙・人民日報系の環球時報の記事は「東南アジア各国などの観光部門や業界関係者は、中国人客誘致のため相次いで措置を打ち出している」と報道。「日本の観光業界の動揺は日増しに深刻化している」とした。
大阪観光局によると、府内約20軒のホテルでは12月末までの中国人客の予約キャンセル率が50~70%に達し、現時点で最も深刻な影響を受けている地域となった。北海道は航空便減便の「被災地」と化した。中国系航空会社は成田・羽田空港のビジネス路線を維持する一方、北海道路線を大幅に減らしている。
東京の一部の高級ホテルでも予約キャンセルが発生。ホテル椿山荘東京などを運営する藤田観光は宿泊客の2割以上が中国人客で、現在「小規模団体客のキャンセルが出ている」と明かした。
日本の航空・旅行関連企業は来年の春節(2月15日~23日の9連休)前後の動向に広く懸念を抱いている。航空旅行アナリストの鳥海高太朗氏は日本メディアの取材に対し、「春節中の状況は極めて厳しい見通しで、影響が来春まで続くことはほぼ確実だ。回復には最短で半年から1年を要する」と指摘した。
中国人客減少の衝撃は消費面にも見られる。日本観光庁のデータによると、2025年1~9月のインバウンド消費額は6兆9156億円で、このうち中国大陸部からは1兆6443億円で23%を占めた。
一方、中国の旅行サイトのデータによると、11月下旬以降、中国では日本に代わる海外旅行先に注目が集まり、特に韓国や東南アジア、欧州などが人気となっている。
同程旅行が12月1日に発表したデータによると、11月の後半2週間、中国人観光客の韓国のホテル予約数が前年同期比で240%以上増となった。ベトナムやインドネシアといった東南アジア諸国のホテル予約数も前年同期比で100%以上増となっているほか、ドイツやスペインなどの欧州のホテルの予約数は300%以上増だ。ビザ免除措置が実施されるようになったロシアも人気が急上昇している。
去哪児ビッグデータ研究院の研究者・楊涵氏は「年末にかけて、中国人観光客のオフピーク海外旅行のニーズが依然として高くなりそう。日本へ行くことを予定していた一部の中国人観光客が飛行距離の比較的短い、周辺国・地域に流れることになりそうだ」と分析している。(編集/日向)











