中国で今後10年に300万社を超える民営企業が後継問題という大きな試練に直面し、その資産規模は数十兆元(数百兆円)に上る。民営経済はGDP(国内総生産)の60%以上、都市部雇用の80%以上を担っており、中国メディアは「民営企業の事業承継の成否は、すでに一家族の問題にとどまらない」と伝えた。

中国通信社(CNS)が紹介した中国民営経済研究会のデータによると、中国の民営企業の80%以上はファミリー企業で、こうした企業は「三代続かない」という承継のジンクスに向き合っている。

世界的に見ても、二代目まで続く家族企業は30%に満たず、三代目にまで続く企業は12%にも届かない。平穏な形でバトンを渡すのは容易ではなく、この壮大な「承継の波」は「人・事業・制度」という三つの試練に直面している。

まずは「人」の問題。改革開放後に成長した創業第一世代の平均年齢はすでに60歳を超え、70歳以上でもまだ事業を手放さない経営者は少なくない。伝承の話題に触れることを避け、体系的な継承計画を立てていないケースも多い。

一方、創業第二世代は海外教育や国際的視野を持つ例が多いが、「継ぎたいかどうか」「継げるのか」「継いで企業をより良くできるのか」という課題に直面している。伝統産業に興味を抱かない者もいれば、「学校から現場へ」「理論から実践へ」というギャップを越える必要がある者も多い。

アパレル企業メタスバンウェイの創業者・周成建氏は、かつて娘の胡佳佳氏にバトンを渡したが、7年間で累計30億元(約659億7060万円)以上の赤字を出し、周成建氏が再び経営の前線に戻らざるを得なかった。周成建氏は「子どもか職業経営者かではなく、最も重要なのは『適任者』を見つけられるかどうかだ」と語った。

次は「事業」の試練。創業第一世代の事業は、伝統的な製造業や商取引に集中していることが多いが、第二世代が向き合う市場は激しい既存市場競争、デジタル化の波、グローバル競争といった全く新しい局面がある。

先代の築いた基盤を守りながら、どうやって産業の高度化を実現するかは最大の課題だ。

農業・畜産業に活力を注ぎ込む「新希望集団」の創業者・劉永好氏が事業を引き継いだ際、娘の劉暢氏はすでに長年にわたり企業で鍛えられていた。劉暢氏は留学後もすぐに経営のトップに立つのではなく、基層の仕事から始めて農牧産業の全体を理解した上で承継した。彼女はデジタル化・スマート化の推進により「飼料王」と呼ばれた従来事業を維持しながらも、産業高度化の新たな展開を開いた。

CNSは「現在、多くの民営企業が『人治』から『法治』への転換を進めている。家族オフィスを設立し、投資管理・株式継承・社会貢献を総合的に管理する例も増えている」と報道。「家族憲章を制定し、株式の分配や権責の範囲、継承規則を明確化する企業もある。さらに取締役会の独立性を高め、外部取締役や専門顧問を迎え、多層的なガバナンス体制を構築しつつある」とも言及した。(編集/日向)

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