英国の経済誌、エコノミストはこのほど、中国が巨大な貿易黒字を出していることは、むしろ中国に内在する経済面の問題点を反映するものと論じる記事を発表した。記事は、中国が今後、日本で20年近くにわたり続いた、デフレマインドに陥る可能性があると主張した。
中国の2025年1月から11月までの貿易黒字は過去最高となり、11兆ドル(約1710兆円)を超えた。しかしエコノミスト記事は、中国の巨大な貿易黒字は国内での支出の弱さをも反映していると指摘した。中国の同時期の経済状態については、輸入は前年同期より縮小し、投資支出は弱く、新築住宅販売は21年のピーク時から半減した。一方で、輸出は前年同期の3分の1成長した。
中国では住宅価格の下落が家計の資産を弱め、消費者の信頼感に打撃を与えた。オーストラリアのマッコーリー銀行は、過去4年間で中国の不動産市場の低迷が14兆ドル(約2180兆円)の不動産資産を消し去った可能性があると試算した。その結果としてデフレが根深く定着した。12月10日の発表によれば、生産者物価指数(PPI)は38カ月連続で下落した。国内価格の下落は中国製品の海外での競争力を強め、同時に中国人民銀行はデフレ圧力を受けて低金利を維持し、人民元を安くした。このことで輸出についての競争力がさらに増強された。
エコノミスト記事は、中国の輸出の強さは国内需要の弱さに由来する部分があるが、輸出が好調であることが、政策決定者が市場救済への切迫感を欠くことにもつながっていると主張した。輸出の勢いは、中国がより強力な財政刺激や果断な不動産市場低迷の終結策なしに、「5%前後」という25年の経済成長目標を達成することを助けつつある。
不動産市場を安定させるためには高い代価が必要だが、住宅価格の下落やデフレを放置しておいたのでも代価は発生する。すなわち、デフレが長く続けば続くほど転換は難しくなる。中国は日本を長年にわたり悩ませたような「デフレマインド」に陥る可能性がある。エコノミスト記事はさらに、「中国は輸出に永遠に頼ることはできない。他国の金利が低下する中で人民元は切り上げ圧力に直面する。そうなれば中国は国内での支出を刺激するしかなくなり、経済の立て直しはさらに難しくなるだろう」と論じた。(翻訳・編集/如月隼人)











