2025年12月17日、香港メディア・香港01は、日本の卓球選手・張本智和について、中国卓球界の「大魔王」と呼ばれた鄧亜萍(デン・ヤーピン)氏が称賛したと報じた。
記事は、香港で10~14日に行われたWTTファイナルズの男子シングルスで張本が優勝し、初めての年間王者に輝いたことを紹介。
記事によると、鄧氏は今大会の決勝で見せた張本についてメンタル、技術の2つの点から評価している。まずメンタル面では「劣勢での勝負強さ」を挙げ、ゲームカウント2-2で迎えた重要な第5ゲームで7-10とゲームポイントを握られた際に、5連続得点によって逆転でゲームを奪ったことに言及。「中国は7-10から積極的に勝ちを奪いにいく選手をもっと多く育てなければならない」と指摘した。
また、試合を通してメンタルのコントロールが以前よりも安定しており、その成熟ぶりがうかがえることも評価した。
技術面では特にバックハンドについて称賛。「技術は的確で、特にバックハンドが際立っている」とコメント自体は非常にシンプルだったものの、シンプルであるが故に鄧氏の張本に対する最大限の評価が見て取れると記事は伝えている。
鄧氏はさらに、世界で絶対的な地位を保ち続けてきた中国代表にあって日本よりも後れている点として「科学的なメンタルトレーニング」に言及。日本は「試合心理評価システム」を導入してプレッシャー耐性を数値化してトレーニングの参考にしている一方で、中国はいまだに指導者の個人的な経験に基づく指導に依存している部分が大きいとし、今大会の準決勝で林詩棟(リン・シードン)が張本に敗れたのも「勝負どころでの心理的な強靭(きょうじん)さが不足していたからだ」と評した。
記事は、最新の男子世界ランクトップ10で、中国勢が王楚欽(ワン・チューチン、1位)、林詩棟(2位)、梁靖崑(リアン・ジンクン、7位)の3人のみとなっていることを指摘。4位の張本をはじめとする海外勢の台頭が顕著になっている現状を紹介。トップ5を中国勢が独占している女子とは対照的に、男子では絶対的な地位に陰りが見え始めていることを伝えた。











