2025年12月20日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、日本が国連での影響力を高めることを目指した動きを進めている理由について報じた。
記事は、日本の外務省によると、国連で働く日本人職員が24年末時点で979人に達し、1990年以降の統計では最高を更新したと紹介。
また、国家安全保障局や外務省が、国際的リーダーシップを担える人材育成に力を入れ、国連大学本部の東京所在や、国際刑事裁判所のアジア支部誘致など、国際的プレゼンスを拡大する具体策も進めているとした。
記事は、その背景として日本人専門家を国連の重要ポストに配置する「5年計画」の取り組みがあると指摘。特に中国がここ数年、国連機関での自国職員数を増やして人口規模や財政貢献に応じた影響力を確保しようとしていることへの対応とみられ、国連機関に勤務する中国人職員は2009年の794人から23年には1647人に増加していることを紹介した。
そして、東京にある国際基督教大学(ICU)の国際関係学教授、スティーブン・ナギ氏が「日本は、中国の国連内での影響力拡大に対抗するため、国連での自国のプレゼンスを強化することを唯一の現実的な対応策と捉えている」と指摘したことを伝えている。
記事は、中国が特に新疆ウイグル族の人権問題に関する報告書作成などで国連活動に関与しており、米英はこれを批判する一方、ロシアや一部の発展途上国は擁護するなど、国際的な意見が分かれていることを紹介した。
その上で、専門家からは日本の動機が必ずしも中国への対抗だけではないとの見方も出ているとし、テンプル大学日本校の村上博美教授が「日本は理想主義的な立場から、国連を通じて世界の危機介入に関わることを重視している。そのため、国連での影響力を戦略的に強化している」と解説したことを伝えた。
また、村上教授の見解として、日本は国際社会での発言力を高めることで国連の効力を維持しつつ、自国の安全保障や外交的立場を強化する狙いがあると伝え、高市早苗首相の下でもこのスタンスが継続される見通しだと報じている。(編集・翻訳/川尻)











