英国物理学会が発行する「Physics World(物理世界)」誌が選定した2025年の科学分野における十大ニュースに、中国科学院物理研究所北京凝聚態物理国家研究センターの張広宇チームが主導した「世界初の2次元金属作製法」が選ばれました。2009年に十大ニュースが発表されるようになってから、中国の研究成果が選ばれたのは7回目で、これは今年選出された唯一の中国の研究成果です。

2004年にグラフェンが発見され、2次元材料の新時代が開かれて以来、世界中の科学者たちは数百種類の2次元材料を作製しており、理論上は約2000種にも上ると予測されています。しかし、これらの材料はいずれも層状構造、いわばミルフィーユ状のものに限られ、機械的剥離により、単層のものを得られます。一方、元素周期表の約80%を占める金属元素は非層状構造・強い金属結合・高い対称性を持つため分離が極めて困難で、学術界では長年、原子のような薄い構造を持つ2次元金属の獲得は「不可能なミッション」と言われ、2次元材料分野における大きな空白となっていました。

この難問を攻略するため、張広宇チームは長年にわたって関連の技術を独自開発し、オングストローム(1オングストローム=0.1ナノメートル)レベルの厚さの2次元金属を汎用的な方法で作製することに成功し、ビスマス(6.3オングストローム)、スズ(5.8オングストローム)、鉛(7.5オングストローム)、インジウム(8.4オングストローム)、ガリウム(9.2オングストローム)の5種類の2次元金属を作製しました。これらの材料は厚さが髪の毛の直径の20万分の1、A4コピー用紙の厚さの100万分の1しかありません。(提供/CRI)

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