「魯迅先生、この図書館には読む価値のある本がありますか?」「まずは古典をおすすめします。『史記』は『史家の絶唱、無韻の離騒』と称えられ、歴史の興亡や人間の善悪を見ることができます。

『詩経』も見逃せません。素朴でありながら感動的な詩句は人々の生き生きとした感情や暮らしを映し出しています」。この対話は首都図書館新館の北京都市図書館のメタバース体験館で行われたものだ。光明網が伝えた。

質問に答えたのはAI(人工知能)デジタルヒューマン「魯迅」で、AI技術に基づき、大規模言語モデルのトレーニングを通じて、文豪・魯迅の容姿や口調を再現し、読者に読書案内サービスを提供している。

この魯迅だけでなく、同エリアには子供向けデジタルヒューマン「図図」や未来感満載のデジタルヒューマン「2122」もいる。図図はライトなコンテンツで低年齢の読者のニーズに応え、2122は豊富な知識データベースに基づいて複雑な難しい内容の質問に答える。

魯迅も図図も2122も、すべて独自の具体的なイメージを備えている。人のような「顔」が円柱形の大型電子スクリーンに映し出され、周囲のメタバース環境と相まって、濃厚なテクノロジー感を醸し出す。

首都図書館の李念祖(リー・ニエンズー)副館長は、「北京都市図書館は計画当初から、図書館のスマート化建設と公共文化サービス刷新の推進に力を入れ、AIデジタルヒューマンは当然含まれるべきコンテンツになった。こうした目に見えるデジタルヒューマンだけでなく、館内のあちらこちらにさまざまなAIが『潜伏』している。読者が検索画面のどのページにどれくらいとどまっていたかを記録し、読者一人一人の個性に合わせたブックリストを提供したり、立体書庫と読者に正確な位置情報サービスを提供することで、お目当ての本を利用者の手元に届けるまでの時間をこれまでの40分からわずか4分に短縮した。

室外の日差しと温度を感知し、スマート化した室温調節を行い、利用者に快適な読書環境などを提供している」と話した。

AIデジタル図書館司書は、2023年末に開館したばかりの新しい図書館特有の存在ではない。北京に以前からある図書館もここ数年の間にAI技術を導入し、利用者にさまざまなサービスを提供している。

AI技術をロボットに搭載すると、より多様なサービスを提供できるようになる。上海図書館東館のビジュアル点検ロボットは超高精細カメラによる識別をサポートし、図書の自動点検・位置測定を実現した。また、搬送ロボットは24時間自動貸出・返却を実現した。

今後、AI技術にはどのような応用シーンがあるだろうか。李氏は、「現在の混沌としたインターネット上の情報を選別し、より精度の高い専門知識システムを構築し、医療、法律、科学などの分野で利用者に専門的な情報サービスを提供できるようにしたい。そしてこれらの専門システムを相互接続し、一つの巨大な知識データベースを構築することで、図書館は蓄積された知識を備える場所であるだけでなく、利用者が未知の世界を探求する手助けもできるようになるだろう」と述べた。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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