東京が世界都市ランキングで初の総合2位に浮上した。だが、この朗報を生活実感として喜べる人はどれほどいるだろうか。
総合2位は朗報?順位と実感にズレ
世界の都市総合力ランキング(GPCI-2025)で、東京が初めて総合2位に到達した。2016年以降9年連続で3位にとどまってきた東京が、ついにニューヨークを上回った。文化・交流、居住環境、環境配慮といった分野が総合順位を押し上げ、ロンドンとの差も過去最小となった。
ただし低迷する項目も…
しかし、総合順位だけを見て都市の実力を判断するのは危うい。GPCIは分野別・項目別に詳細な評価を行う指数であり、内訳を見ると東京の立ち位置はより複雑だ。英語版公式資料でも、総合順位は上昇した一方で、経済分野の順位は前年から低下したと明記されている。
金融センター分野の総合順位自体は3位を維持しているが、賃金水準や高度専門人材といった下位指標では10位圏外に位置する項目もある。
つまり東京は、「都市としての完成度」は高いが、「稼ぐ力」や「報酬の厚み」では相対的な弱さを抱えている。
住みやすさは誰の目線か
このズレは住みやすさ指数にも表れている。EIU(エコノミスト・インテリジェンス・ユニット)のGlobal Liveability Index 2025では大阪が世界7位に入り、トップ10入りを果たした一方、東京はトップ10外に位置づけられた。
ここで重要なのは、「東京が何位だったか」よりも、「評価軸」だ。EIUは混雑、住宅コスト、環境負荷など生活者の負担に直結する要素を重く見る。観光や短期滞在では便利な東京も、日常を送る場としては評価が分かれやすい。
人口首位陥落が示す構造変化
さらに視点を変えると、国連が11月に発表した「World Urbanization Prospects 2025」では、東京は「世界最大の都市圏」という長年の座を失い、3位となった。1位はジャカルタ、2位はダッカだった。
これは東京の衰退を意味しない。東京圏人口は約3700万人規模で大きな減少は見られず、むしろ新興国メガシティーの急成長が順位に反映した。だが、この事実は東京が「拡大し続ける都市」から「成熟をどう管理するかが問われる都市」へとフェーズを移したことを示している。
東京が次に問われるもの
ここまでのデータが示すのは明確なねじれだ。東京は世界に見せる都市力では評価を高めながら、暮らす人が感じる報酬や余裕では課題を残している。
ランキング2位は目的でもなければ、ゴールでもない。次に問われるのは、ここで働き続けたいか、人生を組み立てたいかという個人の選択だ。順位を誇るだけでなく、賃金、住宅、時間といった生活の基盤にどう向き合うか。東京は今、その問いに答える段階に入っている。(提供/邦人NAVI-WeChat公式アカウント・編集/耕雲)











