シンガポール華字メディアの連合早報は28日、日本の2025年の出生数が67万人割れの公算で、統計のある1899年以降、最少となる見通しだとする英フィナンシャル・タイムズの記事を紹介した。

記事によると、25年の日本の出生数は政府の最も悲観的な予測さえも下回る見込みで、人口が急速に減少する中で経済成長と移民制限のバランスを取ろうとする高市早苗首相にとって課題は深刻化している。

人口統計の専門家は、25年1~10月のデータに基づいて計算し、25年通年の出生数は67万人を下回る可能性が高いと予想している。専門家らは、この数字は財政・経済計画の基礎として使われる政府の年間出生数の中位予測を大幅に下回ることになると警告した。

国立社会保障・人口問題研究所がまとめて23年に更新された推計では、25年の出生数は74万9000人とされていた。同じ予測では、出生数は41年まで67万人を下回らないとされていた。

67万人割れは、25年の出生数を約68万1000人と予測した政府の最も悲観的な「低位シナリオ」を大きく下回ることになり、人口減少に対する危機感をさらに高めるものとなりそうだ。

一方、外国人流入の増加に対する国民の抵抗は高まっていて、移民懐疑派のポピュリスト政党の最近の選挙での勝利に反映されている。

婚外子の出産がまれな日本では年間の結婚件数が減少し続ける一方、年間死亡者数も増加しており、24年には日本の人口は90万人余り減少した。

25年の出生数は来年初めに発表される見込みだが、最終的な数字が専門家の予測通りなら、10年連続で過去最低の出生数を記録することになる。

エコノミストや学者、野党の政治家らは、政府に対し、日本の人口動態が悲観的な予測に近づきつつあることを認めて予測や計画を見直すよう求めている。

みずほ証券のチーフ株式ストラテジスト、菊地正俊氏は「しかし、そうすることは、出生率を上げるための政府の長年の努力が無駄だったと認めることに等しく、増税と年金給付の削減は避けられないだろう」と指摘する。

人口統計学者らは、26年が丙午(ひのえうま)の年であることが出生率に及ぼす影響についても考察している。丙午生まれの女の子は災いを招くという迷信により、1966年は出生数が25%減少した。

(翻訳・編集/柳川)

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