歌って踊れるロボット犬から対話ができる縫いぐるみまで、2025年はAI玩具が次々とヒットを飛ばしており、業界内では「AI玩具元年」とされた。北京日報が伝えた。
中国のある6歳児は「ママ、ウルトラマンが本当にしゃべれるよ!」と最新モデルの「AIウルトラマン」を抱きしめながら、興奮を抑えきれない様子で話した。
AI玩具市場への参入相次ぐ、新製品が続々登場
2025年下半期以降、AI玩具の新製品ラッシュが続いている。11月末、ファーウェイ(華為)が共同ブランドで発売した「智能憨憨(スマートハンハン)」は発売開始わずか10秒で完売し、公式ルートでの販売数は瞬く間に6500個を突破した。ECプラットフォームの「得物」では、一時75%のプレミア価格がつき、一部のカラーやモデルは699元(約1万5700円)まで値上がりしたが、それでも入手困難な状態が続いている。
それだけではない。ほぼ同時期にECサイト「京東」傘下の「京東京造」も自社開発システムを搭載したAI縫いぐるみシリーズを発売。子供の付き添いや家庭内での利用をターゲットに、ストーリーテリング、感情認識、インタラクティブゲームを売りにしている。12月初旬には、優必選(UBTECH)も「萌UU(モンユーユー)」ファミリーの第2世代製品「優崽(ヨウザイ)」を発売し、感情交流機能を強化した。
中国国際玩具展から世界人工知能大会(WAIC)に至るまで、AI玩具はいまやあらゆる展示会で「集客の目玉」となっている。参入しているのは、珞博智能(Lobot)や躍然創新(Haivivi)といったスタートアップ企業だけでなく、ファーウェイ、バイドゥ(百度)、バイトダンス(字節跳動)、ZTE(中興通訊)といった大手企業の異業種参入も目立つ。
業界投資家の王海(ワン・ハイ)氏は、「25年下半期に登場したAI玩具は、総じて高いデザイン性、優れた付き添い機能、そして踏み込んだ対話能力を備えているのが特徴だ。特に縫いぐるみやソフトビニールなどの肌触りの優れた素材を採用した製品が好まれており、擬人化設計を通じて情緒的な結びつきを築くことで、女性やファミリー層の市場を急速に席巻しつつある」と説明した。
大規模言語モデルが玩具産業の高度化を加速
AI玩具ブームの背景には、大規模言語モデル(LLM)技術の急速な成熟とハードウェアコストの下落という二重の追い風がある。
広東省汕頭市澄海区のチップモジュール業者は「今やAI玩具をカスタマイズするコストは多くの人が想像するより低い。基礎的なAIチップのソリューションは20元(約450円)以内に抑えられている。プラットフォームリソースの接続や個別カスタマイズが必要な場合でも、ハードウェアコストの総額は100元(約2250円)以内に抑えることが可能だ。本質的には、すべてのぬいぐるみは『チップ+外装』によってスマート製品にアップグレードすることができる」と明かす。
そして、技術的ハードルの低下が産業の活力を刺激している。深セン市玩具業界協会の劉振烈(リウ・ジェンリエ)会長は、「AI玩具の研究開発コストは著しく下がった。ワンストップ型の技術プラットフォームを利用すれば、中小メーカーでも従来の3分の1以下のコスト、かつ半月という短期間で製品開発を完了できる。国産玩具『芙崽(フウザイ)』を例にすると、国産の大規模言語モデルを搭載してリアルタイムの対話と長期記憶を実現しているだけでなく、中国が独自開発した超低消費電力チップを採用することで、バッテリー駆動時間とインタラクティブ体験を大幅に向上させている」としている。
さらに大規模言語モデル企業も従来型の製造業との連携に積極的になっている。百度スマートクラウドのビデオクラウドゼネラルマネージャー・曹菲菲(ツァオ・フェイフェイ)氏は、「玩具産業チェーンに対して、計算力からアプリケーションまでフルスタックのサポートを提供している。物語の再生や健康関連のQ&Aなど、30種類以上のアウト・オブ・ザ・ボックスのアプリケーションとコンテンツリソースを公開し、技術導入のハードルを大幅に下げた」と話す。
産業の高度化は利益構造にも現れている。
劉氏は、「中国は世界最大の玩具生産・輸出国であり、現在、業界はトランスフォーメーションの重要な時期にある。AIはその局面を打破する鍵だ。現在、河北雄安新区、江蘇省揚州市、陝西省安康市、広東省東莞市といった伝統的な玩具産業集積地では、AIと玩具産業の深い融合を推進する政策が次々と打ち出されている」とする。
しかし、急速な発展の一方で、製品の同質化やデータセキュリティーといった課題も山積となっている。
ある業界関係者は、「多くのAI玩具がいまだに『スマートハードウェア+縫いぐるみ+汎用モデル』を組み合わせただけの段階にとどまっており、ユーザーの真のニーズを満たせていないため、返品率が押し上げられている。一部の製品では返品率が30%を超えており、消費者は数日間試しただけで飽きてしまうことが多い」と率直な見解を示した。
広東省東莞市石排鎮のデザイナーズトイ企業のマネージャー・高氏は、「優れたAI玩具を作るには細部へのこだわりが必要だ。多くの企業がオープンソースモデルを導入しているものの、IPキャラクターや素材、製法をAI技術と有機的に融合させられるデザイン人材が不足しており、それがユーザーに『長く使い続けたい』と思わせる製品の開発を難しくしている」と指摘した。(提供/人民網日本語版・編集/KN)











