2026年1月7日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、米国によるベネズエラへの軍れた事行動が中国に「5つの教訓」を与えたとする、ドイツ紙ハンデルスブラットの報道を紹介した。

紹介されたのは、独経済紙ハンデルスブラットが掲載したマーティン・ベニングホフ氏による寄稿記事。

ベニングホフ氏は、ベネズエラが中国にとってラテンアメリカにおける戦略的パートナーであり、長年にわたり経済的影響力と人民元国際化を行使するための実験場でもあったとした上で、マドゥロ大統領を拘束した米国の軍事行動が、中国の外交政策と世界的な覇権戦略に深く長期的な影響を与える可能性があると指摘している。

記事によると、同氏が最初に挙げた教訓は「中国の懐柔政策が米国の武力による脅威から相手国を保護できない」ことだ。中国側がマドゥロ政権に対して実施した総額600億ドル(約9兆4000億円)の融資返済の一環として、ベネズエラの石油が大量に中国へ輸出されているとした上で、政権崩壊は債務返済を危うくし、現地の石油産業が米国に掌握されれば中国の石油供給に影響が出るとの見方を示した。

2つ目の教訓は「人民元の国際化が挫折する可能性」。ベネズエラ政府が8年前から石油価格等を人民元で公表し、「ドルの暴政」からの脱却を掲げていたことに触れ、米国が決済ルートの遮断に成功すれば中国の通貨外交が挫折し、中南米における中国の影響力封じ込めという目標に近づくことになるとした。

3つ目の教訓は「中国が遠隔地における軍事的劣勢を認識した」ことだ。米国の軍事専門家ティモシー・ヒース氏が「中国の沿岸水域を除けば、人民解放軍が世界の大半の地域で米軍に対抗することは困難」と語ったことを挙げ、経済や貿易の分野以外では中国の影響力が依然としてラテンアメリカに及びにくいと指摘した。

4つ目の教訓は「台湾政策への影響」だ。台湾問題とベネズエラの状況は比較できないとしつつも、中国国内では今回の襲撃を米国の実力行使と見なし、中国軍指導部が、空中戦、ドローン、サイバー戦の体系的な結合や、敵の防御システムに対する欺瞞(ぎまん)工作などを注視していると解説した。

そして5つ目の教訓として挙げたのは「秩序維持者としての中国の大国イメージ」だ。同氏は、中国がアジア以外の地域で自国の利益を貫徹するには依然として困難が伴い、必要な政治的・軍事的な実力が欠けていると分析。中国は今後ラテンアメリカへの関与を単なる融資や商品取引から、より強力な政治的関与や空母建設の推進による軍事投影能力の強化へと転換する可能性があるものの、米国の強硬姿勢を鑑みればその実現は困難であり、別のアジアやアフリカなどの影響力圏内に注力するという選択肢もあり得ると分析した。

(編集・翻訳/川尻)

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