2026年1月14日、中国メディアの環球時報は、中国で肥満問題が深刻化する中、国内外の製薬メーカーがダイエット薬を中心に激しい価格競争を繰り広げていることを報じた。

記事は香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(以下、同紙)の13日付報道を引用している。

同紙は、国内外の製薬メーカーがダイエット薬分野で市場シェアを獲得するために激しい価格競争を展開していると紹介。世界の製薬大手であるノボ・ノルディスクとイーライリリーが依然として業界の主導権を握っているものの、24年に両社の治療薬が中国で承認されたことで競争が一段と激化したと伝えた。

また、中国で今年3月にノボ・ノルディスクの主力製品であるセマグルチドの中核化合物特許が切れることに注目。同社の独占体制に挑戦する準備を進めてきた多くの中国製ジェネリック医薬品が市場に参入する道が開かれることから、この分野における大きな転換点になり得ると指摘した。

そして、激しい価格競争は昨年12月末からすでに本格化しており、雲南省や四川省の医薬品集中購買プラットフォームでは、輸入されたセマグルチド注射液の価格が約50%下落したとの情報が確認されていると紹介。ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループの崔翠(ツイ・スイ)氏が、売上総利益率の高いダイエット薬は大幅な値下げにも耐えられ、メーカーは利益の維持よりも市場シェアの防衛を優先していると分析したことを伝えている。

また、一部の電子商取引(EC)プラットフォーム上でも大幅な値下げが見られ、イーライリリーのマンジャロ(チルゼパチド、中国での販売名はムフェンダ)の販売価格がメーカー希望価格から約80%下落した事例もあると指摘。専門家からも、中国市場での競争に備えた多国籍企業による値下げの速度と幅が、予想を上回っているとの見方が出ているとした。

記事は、昨年「ランセット」誌に掲載された研究データで、中国の成人における過体重および肥満の人口が21年現在4億200万人で、50年には6億2700万人に達すると予測が示されており、肥満に起因する医療費は30年までに4180億元(約9兆5000億円)に達する見込みであることを紹介した。

その上で、中国の製薬各社が特許切れと需要拡大を好機と捉え、次世代の肥満治療薬として期待されるGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)療法関連薬の開発を加速させていると指摘。信達生物が1月初旬に、国産初の肥満治療薬として昨年国内承認を取得した「マズデュタイド」の値下げに踏み切ったほか、すでに60種類以上の関連新薬が第3相臨床試験段階にあり、外資系企業の製品に対抗し得る勢いであることを伝えた。

そして最後に、この分野の未来について、ダイエット薬が単なる治療薬の枠を超え、消費者の美意識やライフスタイルに深く関わる「美容・消費財」のような市場競争へと変貌する可能性があるという、マッコーリー・キャピタルのトニー・レン氏による展望を併せて紹介した。

(編集・翻訳/川尻)

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