このほど10年ぶりに帰国した、反体制で知られる中国人芸術家の艾未未(アイ・ウェイウェイ)さんが、中国社会を絶賛したことで注目を集めた。艾さんは一方で欧米諸国を批判している。

台湾メディアの中央社が伝えた。

艾未未さんは北京市の出身で、中国で西側の前衛美術が受け入れられた1980年代から創作活動や評論活動を盛んに行った。しかし当局のやり方を強く批判するなどで活動停止に追いやられたり、自宅軟禁を強いられたり出国を禁止されたりした。しかし2015年には出国を認められ、それ以降はドイツや英国、ポルトガルに滞在してきた。このたび帰国したのは、高齢の母親を見舞い、17歳の息子に家族と故郷のことを理解させるためという。

艾さんはこれまで、滞在経験のあるドイツ社会をしばしば批判してきた。25年にも多くのドイツメディアを通じて、ドイツ社会を批判した。寄稿を求めたメディアが艾さんの文章の掲載を見合わせたこともあり、ドイツでは「反主流」の意見を受け入れるべきかどうかについて議論が発生した。

艾さんは中国帰国後にドイツ有力紙のベルリナー・ツァイトゥンクの取材を受け、改めてドイツ批判を展開した。艾さんはまず、ドイツ社会を「権威主義」と主張した。また、ドイツその他の国の行政体制を批判した。ドイツでは銀行口座を何度も閉鎖され、スイスでも口座開設を拒絶されたという。

艾さんは、欧州の日常生活で直面する困難は、少なくとも中国の10倍であり、特に官僚主義により疲れ果てると主張した。

今回の帰国では、長年にわたり使っていなかった銀行口座の利用再開の手続きをしたが、わずか数分ですべてが完了したという。また、衣料品店でコートを購入した際には、店側が自主的にオーダーメイドを提案するなど、購入は迅速かつ円滑に進行したという。

艾さんは中国社会全般について、現代化が進行すると同時に儒教の伝統を保っており、対人交流が密接かつ開放的で、明るく温かい印象があると高く評価した。対照的に、ドイツなどで生活した10年間には、隣人に自宅へ招待されたことはほとんどなかったと、人と人の関係の冷たさを指摘した。

艾さんは中国に帰国したことについて、別に危険なこととは思わなかったと説明。北京に足を踏み入れた瞬間には、日光、空気、街並み、人々に強い親しみを感じ、「砕けた玉石が再び組み合わされた」ように思えたという。

取材したベルリナー・ツァイトゥンクは米国による関税とロシア・ウクライナ戦争についても質問した。艾さんには、中国の民衆は一般的に、トランプ大統領の関税政策に、「市場の論理に合わない」として反対しており、最終的には米国自身が苦い結果を引き受けることになると考えていると説明。ロシア・ウクライナ戦争については、中国社会の主流の見方は当局の立場に近く、戦争は本来発生すべきではなく、同時にウクライナ人の苦難に同情していると述べた。

艾さんは、中国社会の状況について、民衆は近代史における屈辱から脱却することを強く求めており、自らの生活の改善に専念していると説明した。さらに、世界における中国の立場については「中国はこれまで一度も、拡張を試みる国家だったことがない。

しかし、民族の尊厳と国家の自尊について、中国は決して妥協しない」と述べた。艾さんのこの「中国観」は、中国当局の説明と合致している。艾さんはベルリナー・ツァイトゥンクの取材の際に、中国当局に対する批判を一切しなかった。(翻訳・編集/如月隼人)

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