中国メディアの頭条新聞は18日、「外国人が中国の病院に押し寄せるのは良いことなのか?」との記事を投稿した。

記事は、南京市のある総合病院が米国人向けに「1日目に検査、2、3日目に治療、4~6日目は周辺観光」という医療ツーリズムのパッケージを打ち出したことを紹介。

費用の総額は米国人の1カ月の医療保険料に相当する700ドル(約11万円)だとし、「病院がまるで国際旅行会社のように見えてくる錯覚さえ覚える」と表現した。

中国ではビザ免除政策を背景に外国人観光客が増えており、過去1年間の訪問者数は前年比27.2%増の延べ4060万人に達した。これと歩調を合わせるように、「China Medical Travel」(中国の医療ツーリズム)も人気を集めているという。

近年、中国国内では、中国の「神のような医療」が外国人の難病を治療したとする事例が相次いで報じられている。上海で手術を受けたブルガリアの脳性まひの少年が運動能力を大きく改善した例、重度の脊柱側弯症だったインド人の少年が治療後に身長が24センチ伸びた例、毒クラゲに刺され下肢切断寸前だったドイツ人が中国の医師によって救われ、最終的には歩いて退院した例などが紹介されてきた。

海外のSNSでは、中国の医療が「早くて安い」ことを強調する動画が多数拡散されている。「米国では13万ドル(約2000万円)かかるとされる心臓バイパス手術が上海では約4万ドル(約630万円)で受けられる」「高度な美容医療も欧米の30~50%の費用で受けられる」といった内容だ。特に注目されているのがMRI検査で、英国では数十週間も待たされることが常態化しているが、中国では即日受診・即日診断ということが「クレイジー」と驚きをもって語られているという。

中国の病院は「クレイジー」と驚き、外国人患者が殺到する背景―中国メディア
南京鼓楼医院

こうした事例の多くは、北京、上海、深センといった大都市の総合病院によるものだ。北京は2019年から、上海、深センもこれに続く形で公立病院を中心に医療ツーリズムの拠点整備を進めてきた。その背景には、臨床医が大都市に過剰集中している現実と、公立病院の国際部が保険外収入を確保し、一般診療部門を財政的に下支えするという制度的事情があるという。外国人患者にとって、中国の医療は費用、時間、技術のバランスが極めて高いとされており、中医学による慢性疾患治療やリハビリの強みを生かし、「治療+観光」という独特の体験が生まれている。

記事は「医療ツーリズム自体は新しい概念ではない」と指摘し、「中でも日本は、治療よりも予防医療と健康管理を軸に、独自の地位を築いてきた」と説明。「約30年前から全国的ながん検診体制を整え、精密画像診断、がんの早期発見、きめ細かなサービスにおいて国際的な評価を得ている。実際、日本の予防医療センターでは、外国人向けに多言語対応が徹底され、検査室内でも中国語表示のボードが用意されるなど、洗練されている。一般的に6日間の滞在のうち2日を検診、残りを観光に充てるモデルは、医療と観光の融合の成熟例といえる」と紹介した。

その上で、中国では免税政策の拡大と医療水準の向上を背景に「医療ツーリズム」が産業的な転換点を迎えつつあると言及した。PwC(プライスウォーターハウスクーパース)の報告書によると、中国の医療ツーリズム市場は29年に3000億元(約6兆7800億円)を超える規模に達する見通しで、現在、中国の一線都市(大都市)は、日本や韓国、タイなど既存の医療観光大国を強く意識しながら、中国国内の「医療ツーリズム第一都市」の座を競っているという。

記事は、「大量消費型観光が限界を迎える中、医療ツーリズムは極めて付加価値の高いハイエンド観光と位置付けられる。中国にとって重要なのは、長年培ってきた医療・製造・インフラの能力を観光と結び付け、新たな価値循環を生み出すことだ」と指摘。「急成長する医療ツーリズムはその試金石であり、将来、中国のハイエンド観光の国際的イメージと自信を形づくる重要な一歩となり得る」との見方を示した。(翻訳・編集/北田)

編集部おすすめ