2026年1月19日、香港メディア・香港01は、中国の25年の貿易黒字が1兆1900億ドル(約188兆円)に達し、過去最高を更新したことについて、その構造的背景と世界経済への意味を分析する記事を掲載した。

記事はまず、中国政府が発表した25年の経済統計を紹介し、国内総生産(GDP)が140兆元(約3200兆円)を突破し、5.0%成長を達成したことなどを伝えた。

そして、特筆すべき点として、貿易黒字額が前年比20%増の1兆1900億ドルに達し、1日当たり30億ドル(約4700億円)を貿易で稼ぎ出したことに言及。インフレ率を考慮しても、この数字は1993年の日本や2017年のドイツのピーク時を大幅に上回る「世界記録」だと評している。

また、輸出のけん引役は製造業であり、特に「新三様」と呼ばれる太陽光発電、リチウム電池、電気自動車(EV)の輸出が約30%増加したと指摘。これは単なる価格競争による結果ではなく、クリーンエネルギーや通信設備分野での長年の技術蓄積と全産業チェーンの優位性の恩恵だと主張した。

その一方で、輸入が0.5%の微増にとどまったことから、一部で「危険信号」との声が上がっていることにも言及。清朝末期の貿易不均衡がアヘン戦争を招いた歴史や、対米黒字が急増した日本が1985年の「プラザ合意」で円高を強制され「失われた30年」に陥った事例を引き合いに出し、極端な不均衡が招く地政学的リスクへの懸念を紹介した。

記事はその上で、現在の中国は経済規模や産業の完結性、軍事力において当時の日本とは比較にならないと反論。輸入の停滞については、米国などによるハイテク製品の対中輸出規制が影響しつつも、本質的には中国の生産システムの効率化にあると分析し、輸入した資源や中間財を、より高い効率で競争力ある製品へ転換しているため、効率の差として黒字が拡大しているに過ぎないと論じた。

最後に記事は、金融資産に依存し変動の激しい米国の需要に対し、工業やインフラに基づき計画可能な中国の需要は、不確実な世界において「需要のアンカー(錨)」として機能していると主張。中国は「世界の工場」であると同時に、最も確実な「需要調整装置」であり、この安定性こそが世界が中国から離れられない理由であると結んだ。(編集・翻訳/川尻)

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