中国のショートドラマ市場はここ数年、「低コスト・短周期・ハイリターン」というビジネスモデルにより、急速な成長を遂げている。報告によると、2025年のショートドラマ市場規模は634億元(約1兆4400億円)を突破し、6億9600万人の視聴者数でインターネット利用者の68.4%をカバーした。これにより、21万9000人の直接雇用が創出され、西安や杭州などの都市は「ショートドラマの都」と呼ばれるようになった。
しかし、こうした華やかな数字の裏側で、多くの従事者は低賃金、劣悪な労働環境、権利保護の困難さといった深刻な問題に直面している。
関係者によると、カー・チュン(柯淳)、マー・チウユエン(馬秋元)といったショートドラマのトップクラス俳優の日給は約3万~5万元(約68万~113万円)に上る。80話前後の作品を1本(約7日間)撮影すると、21万~35万元(約477万~795万円)を得られるという。さらに一部の俳優は、分配金制度により1作品当たり100万元(約2270万円)を超える収入を得ており、年収換算で数千万元規模(1000万元は約2億2700万円)に達するケースもある。
一方、一般的なショートドラマ主演俳優の日給は2000~5000元(約4万5000~11万3000円)程度にとどまり、エキストラに至っては80~200元(約1800~4500円)まで下がる。残業代の不払いや賃金未払いも常態化している。さらに一部の制作チームでは「実績作り」を理由に新人に無償出演を求めたり、契約後に謝礼(紅包)を差し引いたりするケースも見られる。例えば、1000元(約2万2000円)を約束しながら、実際には500元(約1万1000円)しか支払われないといった事例だ。トップ層と最下層の収入差は60倍以上に及び、極端な所得格差が露呈された格好だ。
また、ショートドラマ業界では「過密スケジュールによる健康被害」も深刻な問題となっている。一般的に「7日間で80~100話を集中撮影する」方式が採られており、ヒット作の撮影期間中、俳優の平均睡眠時間が1日5時間未満という状況も珍しくない。労働環境を軽視する実態が浮き彫りとなっており、乳児でさえ例外ではない。
ある撮影現場で今年1月、時間短縮を理由に赤ちゃん人形の使用を拒否し、実際の乳児を俳優の背中に縛り付けたまま、散水車による「豪雨」の演出を30分間行った。この際の映像や、乳児に支払われた報酬がわずか800元(約1万8000円)だったことなどがネット上で拡散され、出演料格差や業界の無秩序に対する世論の批判が再燃した。中国国家広播電視総局は8日、児童のドラマ出演に関する新たな規定を発表したものの、実際の運用面では実効性不足が指摘されている。現状では、ネット世論による告発や炎上を通じて作品を配信停止に追い込む程度にとどまっている。
権利保護の面でも課題は多い。制作の約70%が口頭契約で行われており、新人契約では「違約金200%」といった過酷な条件が設定されることも少なくない。その結果、権利を主張する余地が大きく制限されている。1500元(約3万4000円)の未払い報酬を回収するのに3カ月を要した例もあり、時間とコストが見合わない現実がある。
爆発的な成長と慢性的な課題が混在するショートドラマ業界の混乱に対し、関係者からは「スピードと利益を優先するあまり、節度を失ってはならない」との声が上がっている。制作の質を競争の核心に据え、人気俳優への過度な依存を抑え、従業者全体の権利を保障してこそ、業界は持続的に発展できると指摘されている。(翻訳・編集/RR)
— 中国動画 (@RC00547555) January 21, 2026











