先週、世界の電子業界を揺るがすニュースが伝えられた。かつて「テレビとは何か」を定義してきたテレビ業界の「巨人」、ソニーが、テレビ事業を中国企業に委ねる決断をしたのだ。
ソニーは1月20日、中国の家電大手TCLと、テレビなど家庭用エンターテインメント事業に関する戦略的提携について協力覚書を締結した。両社は、TCLが51%、ソニーが49%を出資する合弁会社を設立し、ソニーの家庭用エンタメ事業を承継する。新会社は、テレビやホームオーディオなどを中心に、製品の開発、設計、製造、販売、物流、アフターサービスに至るまで、一体化した事業運営を世界規模で展開する方針だ。
アナリストの間では、この枠組みにより、ソニーのテレビ事業などの実質的な主導権がTCLに移ったとの見方が広がっている。
テレビ産業の歴史において数多くの輝かしい実績を残し、画質の基準を築いたソニーのテレビ事業は、長年にわたる独立製造の時代に一つ区切りを打つことになる。
長い間、ソニーのテレビは世界の消費電子製品市場において、象徴的な存在であり続けた。1968年に「トリニトロン」が登場して以降、30年以上にわたったCRTテレビの時代、ソニーは高級テレビ市場で圧倒的な存在感を示し、業界の技術標準を主導していた。
1980から90年代にかけては、中国の多くの家庭にとって、ソニーのテレビは「体面」を象徴する第一の選択肢であり、その価格は当時の一般労働者の数カ月分、場合によっては数年分の収入に相当することもあった。
しかし、時代は大きく変わった。2025年の一部の業界データによると、ソニーのテレビの世界出荷シェアは1.9%に低下し、順位は第10位に後退した。TCLやハイセンス、シャオミ、スカイワース、ハイアールといった中国ブランドの後塵を拝する形だ。一方、同期間のTCLの世界市場シェアは13.8%とされ、安定して第2位を維持している。
ソニーの今回の選択は、日本の家電製品業全体が直面してきた構造的な衰退を映し出しているとも言える。
1980~90年代、ソニー、パナソニック、東芝、シャープといった日本ブランドは、技術を武器に世界のテレビ市場の大半を占めていた。しかし、21世紀に入ると、その優位性は急速に失われ、多くの日本メーカーがテレビ業界からの撤退を余儀なくされてきた。シャープは中国台湾の鴻海精密工業(フォックスコン)に、東芝のテレビ部門「REGZA(レグザ)」は中国のハイセンスにそれぞれ買収された。そして今、ソニーもまた、テレビ事業の主導権を手放す局面を迎えている。
技術革新といかに市場の需要と結びつけ、先進性を持ちながら、消費者の購買力や現実の市場ニーズに合致した製品を開発するのか。
この問いは、従来型の製造業全体に向けて鳴らされた警鐘と言える。永遠の巨人は存在せず、時代の変化に適応できる者だけが生き残る。かつて大きな成功を収めたがゆえに、過去の栄光に固執し、新興産業の創出に向けた挑戦が鈍れば、それ自体が成長の足かせとなりかねない。
現在の世界市場では、競争のルールはすでに大きく変化している。消費者が重視するのは、価格競争力やスマートエコシステムとの連携、そして技術の迅速な更新であり、かつてのように日本ブランドの工芸的価値や情緒的な魅力だけで支持を得られる時代は終わっている。
もっとも、今回の連携は、中国企業がよるトップクラスの国際ブランドを単純に買収したというものではない。
ソニーは、映像コンテンツから専門機器、消費者向け端末に至るまで総合的な技術力とブランド価値を有する。一方のTCLは、上流のパネル技術と完成機器の製造・統合に強みを持ち、徹底したコスト管理と迅速な技術革新を実現している。ソニーはブランド価値と音声・映像技術を提供し、TCLは製造能力、部品調達力、グローバルな販売ネットワークを担う。つまり、互いに必要としているものを補い合う現実的な選択だ。
さらに踏み込んで見れば、TCLとソニーの連携モデルは、国際産業競合における新たな可能性を示しているとも言える。海外ブランドが長年培ってきた技術とブランド資産を提供し、中国企業が製造力、革新のスピード、市場への感応力を補完する。技術ブランドと製造主体の補完型の連携は、今後一つの潮流となり得る。
直接的なゼロサム競争だけでは勝敗が決しにくくなっている中で、「競争」と「協力」の境界は次第に曖昧になっている。時代のうねりの中で中核的な競争力を維持するためには、自ら変革を選び、互いの強みを生かす姿勢が必要だろう。(提供/CRI)











