2026年1月29日、中国メディアの環球時報は、進展が遅れている日本の対米投資計画に関し、「人工ダイヤモンド」の生産拠点整備が第1号案件として浮上していると報じた。

記事はロイターの報道として、昨年7月に合意された5500億ドル(約85兆円)規模に上る日本の対米投資枠組みの中で、米国側は人工ダイヤの「国産化」を強く推進していると紹介。

具体的な対象として英資源大手アングロ・アメリカン傘下のデビアス・グループ子会社「エレメント・シックス」が関わる事業規模推計5億ドル(約770億円)のプロジェクトを挙げ、3月に予定される高市早苗首相の訪米に先立って正式発表される見込みだと伝えた。

そして、人工ダイヤが半導体の超精密研磨や量子デバイス、軍事用レーダー部品など、軍民両用(デュアルユース)技術に不可欠な戦略物資であると解説。一方で、世界の生産能力の大部分を中国が有していることから、米国政府は日本企業の参画を促すことで、中国に依存しない日米独自のサプライチェーン構築を急いでいると指摘した。

その上で、中国金属鉱業経済研究院の鄭宏軍(ジョン・ホンジュン)上級研究員の分析を紹介している。記事によると、鄭氏は24年の中国の人工ダイヤモンド生産量が世界の63%を占めることから「世界の絶対的な主力であることは疑いない」と指摘。日米協力が高純度製品や欠陥制御技術などのハイエンド領域で優位性を持つとしつつも、産業クラスターの欠如や高コスト構造という決定的な弱点を抱えていると論じた。

鄭氏はさらに、日米がサプライチェーンを再構築するには5~10年の歳月と巨額の投資が必要であり、現時点ではハイエンド生産ラインの在庫も中国のサプライチェーンに依存せざるを得ないと分析。「工業レベルの大規模市場における中国の主導的地位は今後5~10年は揺らがないだろう」との見方を示した。

記事はまた、AP通信の報道を引用し、米ピーターソン国際経済研究所が日欧韓などの対米投資公約について「不確実性の霧に包まれている」と報告したことにも言及。合意が米国の圧力による「脅しに近い形」で取り付けられた側面があるため、各国が公約からの離脱を画策する可能性があり、履行は困難を極めるだろうという同研究所の見方を伝えた。(編集・翻訳/川尻)

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