中国武術・太極拳の発祥地として知られる河南省の温県が世界の茶飲料向け原料を支える重要拠点にもなっている、と中国メディアが伝えた。「太極の聖地」と「茶葉の原料供給地」という「武」と「飲」の組み合わせは新たな地域の魅力として育ちつつある。
中国通信社(CNS)によると、温県は河南省の農業県で、「四大懐薬の産地」としても名が通る。温県の陳家溝では太極拳の拳士たちが朝から稽古に励む一方、その拳郷のすぐ近くにある工場でも別の意味での「腕前」が静かに磨かれている。
中国発の世界的な茶飲料チェーン「蜜雪冰城」に原料を供給する生産ラインから出発した「大咖国際」は「蜜雪冰城の中央工場」とも呼ばれ、今では年商が100億元(約2281億4400万円)に迫る規模に成長した。
温県の飛躍を象徴するのは蜜雪冰城向け原料産業の急成長だ。もともとは蜜雪冰城に原料を供給していた企業が世界有数の茶飲料原料の生産拠点を築いた。
そこは単なる工場ではない。上流では茶葉、乳製品、果物など世界各地の産地とつながり、下流では蜜雪冰城の世界5万店を超える店舗網を支える。こうした供給網が生む経済効果は大きく、温県を「地方の一県城」から、世界の茶飲料産業の中で存在感を持つ地域へと押し上げた。
産業の発展は農家の収入にも直結する。公開情報によれば、大咖国際は農業産業化を担う国家級の重点企業として地元の山薬産業の強みを生かし、山薬の缶詰や山薬粉などの加工品を開発してきた。
地元の農産物などの年間調達額は1億5000万元(約34億2216万円)に上り、販路拡大にもつながった。結果として8000戸余りの農家の所得向上を後押しし、農業の高度化にも寄与している。
村の集団経済も伸びている。24年、温県の262の村すべてで村集体経済の年収が5万元(約114万720円)を上回り、10万元(約228万1440円)超の村は182、50万元(約1140万7200円)超は52、100万元(約2281万4400円)超は22だった。
CNSは「世界の若者が蜜雪冰城を飲むとき、カップの中の原料が太極拳の故郷で作られているとは想像しにくい」と報道。「武術ファンが陳家溝を訪れて学ぶときも、ここが世界の茶飲料向け原料を支える供給拠点になっていることを知れば驚くだろう」と述べた。
さらに温県は「伝統に根差しながら人を呼べる新しい観光の形を切り開こうとしている」と言及。「伝統と現代、産業と文化を組み合わせて地域を育てる温県の取り組みは、中原の地で着実に進んでいる。次に大きな注目を集めるタイミングは、そう遠くないのかもしれない」と期待感を示した。(編集/日向)











