2026年1月29日、香港メディア・香港01は「EV差別?」と題し、中国山西省の集合住宅で電気自動車(EV)の地下駐車場進入が一方的に禁止され、多額の費用で駐車枠を購入した住民と管理側が対立していると報じた。

記事は、同省大同市の集合住宅に住む趙(ジャオ)さんが昨年12月、2012年に約10万元(現在のレートで約220万円)で購入した地下駐車場の利用を突如禁じられた事例を紹介。

禁じられた理由は「潜在的なリスクを排除する」というもので、わずか2日間の猶予でゲートの通行権限が削除されたため、趙さんは路上駐車を余儀なくされ、冬場のバッテリー劣化や盗難のリスクにさらされていると伝えた。

一方で、管理側が「車庫で発火した場合の責任」を強調していることに触れ、トラブルの背景にはEV火災への強い警戒心があると指摘。集合住宅内では、ガソリン車所有者から「英断だ」と称賛の声が上がったほか、趙さんに対して「なぜEVを買ったのか」と嘲笑する住民まで現れるなど、コミュニティー内での対立が深刻化しているとした。

EV差別?220万円で駐車スペース購入したのに使用禁止―中国

なお記事によると、今年1月に入って地元当局が仲介し、近隣駐車場への一時的な誘導が始まったものの、地下駐車場への再入庫については依然として見通しが立っていないという。

記事は、リチウムイオン電池の「熱暴走」がもたらす脅威を紹介。専門家の話として、EV火災は数秒で800℃以上に達し、燃料漏れから引火まで平均5分の猶予があるガソリン車に比べて避難が極めて困難であること、燃焼時に放出されるフッ化水素などの劇毒ガスは、地下空間では十数秒で危険濃度に達すること、燃焼エネルギーがガソリンの1.5倍に及び、周辺車両への連鎖的な延焼リスクも極めて高いことを伝えた。

また、トラブルは既存の地下駐車場が抱えるインフラの限界を浮き彫りにしたとも指摘。旧来の消防基準が深刻なボトルネックになっており、最新の消防設備や換気システムの導入には約100万元(約2200万円)もの費用がかかるとした。そして、修繕積立金からの取り崩しにはガソリン車オーナーらの強い反対があり、合意形成が困難になっていると紹介した。

最後に記事は、管理会社による一律の進入禁止は「消費者差別」にあたる可能性が高いという弁護士や専門家の見解に言及。消防基準の明確化や政府補助金による改修を進める広東省深セン市のように、各都市の財政状況に合わせた段階的な対策が求められていると指摘した。(編集・翻訳/川尻)

編集部おすすめ