両替店などが多く集まる香港の上環で1月30日午前9時50分ごろ、日本円現金5100万円が奪われる強奪事件が発生した。日本の羽田空港で同日未明に発生した1億9000万円強奪未遂事件で、奪われそうになった現金を香港に運んだところ、その一部が奪われたとされる。

背景には香港から日本に黄金を持ち込んで販売する違法ビジネスがあるとみられている。また日本での強奪未遂と香港での強奪には内部関係者が絡んでいるとされる。香港メディアの香港01が伝えた。

香港警察は31日午前4時半に記者会見を開いて事件の経緯を説明した。それまでに男5人と女1人の計6人を逮捕し、その内訳は日本人3人、中国大陸部出身者2人、香港人1人だった。逮捕された日本人のうち1人は、事件発生を通報した日本人2人のうちの1人だった。この人物が内通者として、犯人側に強奪のための情報を提供したとみられている。警察は盗まれた5100万円のうち、約1100万円を押収したという。

被害者側は日本から約1億9000万円を香港に運び込み、うち5100万円を上環にある両替店で他の通貨へ両替しようとしたところ、両替店の外で襲われた。警察は事件発生から約6時間後に最初の3人を逮捕し、同日中に残りの3人を逮捕した。逮捕者には実行犯、内通者、および盗品の処理を手助けした仮想通貨両替店の職員が含まれている。

警察は大量の防犯カメラの映像をもとに、犯人の身元と車両の逃走ルートを特定した。

警察は犯人グループが同日中に飛行機で香港を離れる計画だったことを察知し、警察官を空港に派遣した。事件発生から約6時間後、空港で強盗の容疑により、犯行グループのメンバーとみられる23歳から52歳の男2人と女1人を逮捕した。うち日本国籍の男2人は両替店の前で現金の入ったリュックサックを奪った実行犯だった。中国籍の女は共犯であり、犯行前の準備に関与し、犯行後は逮捕された男2人と共に現場から逃走した。捜査員は逮捕者の所持品から、現金約460万円を押収した。

警察は同日中に、香港尖沙咀でも仮想通貨両替店の店員2人を逮捕した。逮捕者は28歳の香港人の男と29歳の中国大陸部出身の男であり、盗品の一部を処理した疑いがある。警察は別の両替店でも約700万円を押収した。

香港で5000万円強奪、羽田の事件と関連の金密輸グループ内部犯行か―香港メディア

警察によると、強盗に遭遇したと通報した27歳と51歳の日本国籍の男について、27歳の男の説明が前後で矛盾していると分かった。警察はさらに、犯人が被害者の現金運搬ルートや到着時間を完全に知っていたことから、自らは被害者と称していたこの日本人が、強奪グループに対する内通者であることを突き止めた。男は犯行グループに情報を漏らして現金を着服しようとした疑いがあり、同じく強盗罪で逮捕された。

香港01は「被害者側が所属する日本企業は貴金属ビジネスに従事している。

何者かが日本円を香港に持ち込んで香港ドルに両替して貴金属を購入することで、税金の差額による利益を得ようとしていたとみられている」と紹介した。

香港は自由貿易港であり、金に対して消費税や関税がかからない。香港で無税で購入した金を税関を通さずに日本に持ち込むことは密輸行為であり、日本の買取店で消費税分を上乗せして売却すれば、日本の関税法と消費税法に違反する。また香港では、2018年に施行された法律の「現金等の越境移動届出条例(RCDO)」により、12万香港ドル(約230万円)相当を超える現金を所持して香港に入る場合、税関への申告が義務付けられている。

また、多額の現金を銀行を通さずにわざわざ物理的に運んで両替して貴金属などに変える行為は、資金の出所や流れを隠す資金洗浄(マネーロンダリング)の典型的な手法であり、それだけで違法であるだけでなく、違法な薬物の取引その他の多くの悪質な犯罪に関連する場合が多い。

香港警察は、香港での日本円強奪事件と羽田空港で発生した強奪未遂事件の関連について、確実な情報が得られるまでコメントは控えると説明したが、日本の警察は羽田空港での被害者と香港での被害者は同一人物と判断したという。(翻訳・編集/如月隼人)

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