年末年始にかけて、「愛你老己、明天見(大好きだよ、私ちゃん、また明日)」というフレーズが中国のSNSを席巻し、若者が自分に関心を向けることを示す新たな表現になった。このフレーズはあるゲームのキャラクターのせりふ「愛你老媽、明天見(大好きだよ、お袋、また明日)」をもじったもの。

「老媽(お袋)」の「老」を残して、方言で自分のことを表す「老己」に変え、「愛你老己(大好きだよ、私ちゃん)」にアレンジした。このフレーズがネタとして話題を集める背後には、「自分を喜ばせる」という消費理念があり、このフレーズはそれを具象化したものだ。

調べてみて分かったのは、若者の「自分を喜ばせる」ための消費はすでに従来の買い物の範囲から飛び出し、情緒的価値を核心とした多様な体験へと変わっていることだ。北京五棵松万達広場にあるペットカフェ「暖寵家」では若い客が猫と親しくふれあい、楽しそうな笑い声が途切れなく聞こえている。

北京市の朗園では、北京中医薬大学の修士・博士課程で学ぶ学生による中医学の脈診のブースが大人気で、若者が問診を受けて自分だけの香囊を作っていた。「煩悩粉砕計画」や「シンギングボウル音楽会」などのアクティビティーは消費という行為を感情の解放という行為へと変え、都市の人々にとって手軽な心のリラクゼーションとなっている。

「自分を喜ばせる」消費理念が新トレンドに―中国

こうした消費行動を選択するのは珍しいことではない。山東美術館が打ち出した馬のキャラクターグッズ「馬彪彪」は、ボサボサのたてがみがチャームポイントとなり、若者が求めるリアル感やリラックス感に対する美意識にマッチし、多くの人の購入意欲を刺激し、たちまちネットで人気になった。

このような情緒的価値のあるものを買い求めるブームは、もはやニッチ市場のトレンドではなくなっている。艾媒諮詢(iiMediaResearch)の報告書によると、中国の感情経済の市場規模は24年に2兆3000億元(約50兆6000億円)に達し、29年は4兆5000億元(約99兆円)を超える見込みだ。

従来の消費に比べ、「自分を喜ばせる」ための消費はシーンがより幅広く、スタイルがより柔軟で、アートトイ、ペット、メンタルヘルス、文化・娯楽、ストレス解消の製品、アロマなど多くの分野に及んでいる。アートトイの市場は「ニッチなコレクション」から「大衆の消費」へと広がり、「グッズ経済」が急速に増加し、ペット消費もペットを飼うために最低限必要なレベルを超え、業態のクロスオーバーによって感情面で寄り添ってほしいというニーズに応えている。

経済学者で中国工業・情報化部の情報通信経済専門家委員会委員の盤和林(パン・ホーリン)氏は、「『自分を喜ばせる』消費の本質は、『機能面での満足』が『感情面での共鳴』へと変貌したことにある。個人所得の増加、消費観念の変化に伴い、情緒的価値は消費の意思決定における重要な検討要素になった。こうしたトレンドが今後、消費市場の質の高い発展を後押ししていくだろう」と指摘した。

浙江工商大学工商管理学院の潘可文(パン・カーウェン)准教授は、「『自分を喜ばせる』消費は、新たなブランドや新たな業態、新たな仕事のポジションを生み出し、労働力の現代サービス業への転換を推進し、人的資源の配置を最適化し、経済の質の高い発展を後押ししている」と分析している。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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