2026年2月2日、シンガポール紙・聯合早報は、米シリコンバレーで新たな人工知能(AI)アシスタント「OpenClaw(オープンクロウ)」が注目を集める一方、中国のIT大手各社が巨額の資金を投じたユーザーの囲い込み競争を加速させていると報じた。
記事は、米国のソフトウエアエンジニアであるピーター・スタインバーガー(Peter Steinberger)氏が開発した「OpenClaw」が、長期記憶を持ちPC操作を自律的に処理する高度な能力により、世界的に「2026年最初のヒット作」と呼ばれていることを紹介した。
また、この動きに呼応する形で、騰訊(テンセント)や阿里巴巴(アリババ)といった中国の大手IT企業も、クラウド展開サービスの開始や自社モデルの提供を相次いで発表していると伝えた。
そして、現在の中国市場の焦点は技術的なブレークスルーそのものよりも、春節(旧正月)に合わせた大規模な「紅包(お年玉)合戦」に象徴されるユーザー規模の争奪戦にあると指摘。騰訊はAIアプリ「元宝」で10億元(約220億円)規模のイベントを開始し、これに対し阿里巴巴も30億元(約660億円)を投じた「招待計画」で追随しているとした。
さらに、百度(バイドゥ)も5億元(約110億円)分の優待をばらまき、春節の「AIパートナーNo.1」の座を確保しようとしていることに触れ、各社が「カネでトラフィックを買う」モバイルインターネット時代の旧来モデルをAI領域で再始動させたと伝えている。
記事はこのほか、騰訊の馬化騰(ポニー・マー)最高経営責任者(CEO)が、今回の施策を通じて2015年に実現した決済市場の激変を再現したいとの意向を示したこと、百度の李彦宏(ロビン・リー)CEOが、「AGI(汎用人工知能)にはあまり注目しておらず、実際のアプリケーションにおける問題解決こそが目的だ」と述べたことにも触れた。
また、こうした大手企業の動向について業界内からは、一時的な資金投入が定着に結びつかず、「ゾンビユーザー」を生むだけではないかとの懸念が出ていることを指摘した。
その上で、米国勢が汎用人工知能(AGI)の実現というフロンティアの探求を目標とするのに対し、中国は国家政策レベルで「人工知能+」行動を推進するなど、AIアプリケーションの開発、実用化と市場規模の獲得を優先する現実的な路線を鮮明にしていると分析した。
記事は、米国がAGIの実現を目標とした未来志向の姿勢を見せる一方で、AIアプリ開発による足元の市場規模、シェア拡大を目指す中国のAI産業に渦巻く競争に対する不安や焦りこそが、中国企業を「優待ばらまきによるユーザー獲得」という旧態依然とした手法に向かわせているとの見方を示し、これを「経路依存性の罠」として紹介している。(編集・翻訳/川尻)











