2026年2月4日、中国のポータルサイト・騰訊網に「ネット小説家から年収10億元へ、『素人』がAI漫画ドラマで大成功」とする記事が掲載された。
今年1月、中国のAI漫画ドラマ市場において初の大型ヒット作「從頼皮蛇開始吞噬進化」が誕生した。
DataEye-ADX業界版によると、同作は複数のランキングで長期間首位を維持している。ヒット作から個別の立役者に注目すると、醤油文化の創業者・黄浩南(ホアン・ハオナン)氏は、今回のコンテンツ形態の進化を象徴する典型例である。同氏は元々ネット小説家であったが、23年5月に実写短編ドラマ市場へ参入。25年には抖音などで漫画形式の動画コンテンツが急激に再生数を伸ばしていることに気付いて、ネット小説の映像化と親和性が高いと判断、AI漫画ドラマへと事業を転換した。
その結果、「截教代行」「魅魔反逆」「玩具店売機甲我震驚全世界」などの作品が次々とヒットし、25年8月時点では抖音における収益上位10作品のうち8作品を同社が占めた。同年9月、黄氏はすべての実写短編ドラマ事業を停止し、漫画ドラマ分野に事業を全面移行することを発表。同社の漫画ドラマ事業は月商約5000万元(約11億円)、年間売上10億元(約220億円)規模に達し、純利益は2~3億元(約45~67億円)、社員数は1000人規模へと急拡大したという。
しかし、このような成功は業界全体を代表するものではない。一部の大手企業が莫大(ばくだい)な利益を得る一方、多くの中小制作チームは赤字覚悟で参入している。平均的には、再生数1000万回で売上約30万元(約670万円)、広告投資を差し引いた純利益は約10万元(約220万円)程度とされるが、ヒット作を生み出せなければ利益は出ない。
記事によると、このブームを支える背景には3つの要因がある。第1に、AI生成技術の急速な進化である。従来は数カ月から数年かかっていたアニメ制作が、少人数チームでも短期間・低コストで可能になった。第2に、実写短編ドラマの飽和による視聴者の疲労感が進み、アニメ形式の新鮮さが求められたこと。そして第3に、抖音、快手、ビリビリ、百度など大手プラットフォームが相次いで支援策を打ち出し、作品と制作チームの囲い込みを進めていることである。
一方で、急成長に伴う問題も顕在化している。 量産を優先した結果、画面や動きが粗く、物語性に欠ける作品が増加し、内容の類似や盗用をめぐるトラブルも発生している。これを受け、中国当局はAI生成アニメを含む短編コンテンツに対する規制を強化し、業界は無秩序な成長段階から整理・淘汰の局面へと移行しつつある。今後、競争の激化でAI漫画ドラマ業界は再編が進み、市場は専門化・高品質化していくと予想される。ただし、ここでいう高品質化とは、短編ドラマのテンポを維持しつつ、内容や制作の完成度を高めた作品のことであり、従来のアニメ制作の手法に置き換わるわけではない。











