2026年2月5日、仏国際放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)は、米国が中国によるレアアース(希土類)供給支配を弱体化させるため、多国間協調による新たな貿易枠組みの構築に乗り出したことを報じた。

記事は、トランプ政権が4日にワシントンで55カ国・地域を招集して閣僚級会合を開き、コバルトやリチウムなどのレアメタルや、レアアースを含む重要鉱物資源の公平なアクセスを確保するための専門貿易グループ設立を図ったことを紹介した。

そして、会合開催の背景について、中国が複数の鉱物加工における支配権を地政学的に利用し、半導体や電気自動車(EV)、最先端兵器の材料供給をコントロールしている現状を説明。実際に中国がレアアースの輸出規制を強化し、西側企業が操業停止に追い込まれた教訓を踏まえ、トランプ大統領が「アメリカ・ファースト」の原則を維持しつつも、対中包囲網形成のために「多国間主義」という新たなカードを切ったと評した。

また、レアアースを巡る米中間の対立が昨年4月に発生した世界的な貿易戦争により激化したことに言及。特に昨年10月9日、中国商務部が国家安全保障を理由に輸出管理を強化した際、米国が猛反発して対中関税を100%に引き上げるとの姿勢を示すなど対立が激化し、同月末に韓国・釜山で行われた米中首脳会談まで緊張が続いたことを振り返った。

記事は、バンス副大統領が4日の会合で「安価な重要鉱物の市場流入を抑制したい」と中国による市場の混乱を批判し、重要鉱物の生産各段階で真の市場価値を反映した「ベンチマーク価格」の設定や、加盟国間で市場価格に応じて変動する関税を通じて最低価格を維持する国際メカニズムの構築を提唱したと伝えた。

また、会合を主宰したルビオ国務長官が、レアアース資源の一国集中について「地政学的目標達成のためのテコ」と表現し、中国が磁石分野の優位性を利用して日本などに圧力をかけていることを念頭に、中国の低コスト生産に対抗できる採掘・加工プロジェクトに民間投資を呼び込む必要性を強調したと報じた。

記事は、広大な国土を持ちながらレアアース資源開発で遅れる米国が、中国依存を減らすため120億ドル(約1兆8800億円)相当のレアアース備蓄を確立する計画で、バンス氏が「強固なサプライチェーン」の安全を確保し、米国の労働者に利益をもたらすと述べたことを紹介した。

そして、米国がすでに日本・EUとの戦略パートナーシップを締結したほか、複数の国と2国間提携合意を取り交わしたことを伝えた。一方で、米国主導によるこの動きは、短期的には製造コストの増大や中国との貿易摩擦を一段と激化させる恐れがあるとの見方も示した。(編集・翻訳/川尻)

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