香港人男性のEさんはある日、普段から成人向け動画を見るために使っているテレグラム(Telegram)をスクロールしていて、画面の中で「親密な行為」をしているのが自分と恋人の女性であることに気づいて愕然とした。二人はその3週間前に深セン市内のホテルに宿泊したことがあった。
中国大陸の法律はポルノコンテンツの制作と拡散を厳しく禁止しているが、ピンホールカメラによる盗撮ポルノ産業は10年前にはすでに存在していた。この問題はSNSの熱い話題になっている。多くの女性が鉛筆につけられた消しゴムほどに小さな隠しカメラをどう発見するかで情報交換をしている。中には盗撮を避けるためにホテルの部屋の中にテントを張って寝る人さえいるという。中国当局は2025年4月にホテル業者に隠しカメラがないか定期的に検査することを要求する新規則を打ち出したが、危険は依然として存在する。
BBCの調査によれば、、現在も多くのウェブサイトで、最近になりホテルの部屋で盗撮された数千本もの動画が販売され続けており、その多くがテレグラムを通じて宣伝を行っている。記者は18カ月にわたり追跡し、6つの異なるウェブサイトとアプリケーションを発見した。これらは180を超えるホテルの部屋に仕掛けられたピンホールカメラを操作していると称しており、録画だけでなく宿泊客の行動の「生配信」もしていた。
うちの一つのウェブサイトを7カ月間監視し続けたところ、54台の異なるカメラが撮影したコンテンツが存在することが分かった。
取材した記者は「AKA」と名乗る有名な盗撮ポルノ取引代理人を発見し、客を装って月額450元(約1万円)の費用で、生配信サイトを視聴する権利を得た。ログイン後は5つの異なる生配信画面を選択でき、それぞれの画面には多くのホテルの部屋が表示されていた。ホテルでは宿泊客がルームカードを挿入して電源を起動しさえすれば配信が始まり、巻き戻し再生や保存された動画のダウンロードも可能だった。
AKAはテレグラムを利用して宣伝しており、そのうちの一つのチャンネルは調査期間中に多ければ1万人以上の会員を抱えていた。生配信の断片動画データベースは有料で提供されており、17年までさかのぼったところ6000本を超える動画が存在することが分かった。
会員はテレグラムのチャンネルにメッセージを残し、何も知らない宿泊客を眺めながらその外見を論評したり、会話内容を噂話にしたり、甚だしきは性行為の「出来栄え」を評価したりしている。カップルが関係を持ち始めると彼らは歓声を上げ、消灯すれば不満を漏らし、しばしば「あばずれ」「売春婦」といったののしり言葉を用いて女性を評している。
取材班は河南省鄭州市内のホテルの部屋に仕掛けられていたカメラの発見に成功した。壁の通風口に設置され、レンズはベッドに向けられていた。カメラは建物の電源系統に接続されており、インターネット上で「ホテル宿泊の必需品」と称して売られているピンホールカメラ探知機を使用しても、全く探知できなかった。
取材班がカメラを撤去すると、情報は直ちにテレグラム上で広まった。ある会員はAKAのチャンネルで「撤去された」と報告した。AKAは「非常に惜しい、あの部屋は音質が最高だったのに」と反応した。しかしAKAは数時間も経たないうちに、別のホテルの予備カメラが起動したと誇らしげに宣言した。
取材を通じて、AKAのような代理業者が12人存在することが確認できた。背後にはさらに上層の「カメラの持ち主」がおり、ピンホールカメラの設置と配信プラットフォームの管理を担当している。記者はAKAと「春哥」と自称するカメラの持ち主との対話のスクリーンショットも入手したが、相手は直ちにメッセージを削除し議論を拒絶した。
BBCがチャンネルの会員数と購読費用に基づいてAKAの収入を試算したとろ、25年4月以来、少なくとも16万3200元(約370万円)を得たとの結果を得た。中国人の25年の平均年収の4倍以上の金額だ。
香港の非営利組織である風雨蘭(レインリリー)のブルー・リーさんは、盗撮ポルノコンテンツの削除支援を求められることが増え続けているが、作業はますます困難になっていると述べた。テレグラムはレインリリーの削除要請に回答したことが一度もなく、グループの管理者、つまり盗撮ポルノコンテンツを販売または共有している者に直接連絡するしかない。しかし彼らも回答する気は全くない。
盗撮ポルノ映像は、被害者の心を極めてひどく傷つける。Eさんと恋人は、外出時には常に帽子をかぶって容貌を見られないようにして、ホテル宿泊もできるだけ避けている。Eさんは「私はもう、テレグラムを利用してポルノコンテンツを見ませんが、自分の動画が再び出現することがとても恐ろしくて、時折はチェックをしています」と説明した。(翻訳・編集/如月隼人)











