中国語の「手搓」という単語はもともとショートカットキーやチートツール、アシスタントツールなどを使わずに難度の高いアクションやタスクを成功させるという意味で、ゲーマー達が使用していた。人工知能(AI)技術が進歩した現在、専用デバイスや生産ラインを使うことなく、自らの手を動かしたり、簡単なツールを使ったりするだけで、クリエーティビティあふれる作品を制作したり、タスクを完了させたりすることできるという意味にも使われるようになった。

「手搓」の登場により、スマホのアプリストアのランキングで上位に入っているツールアプリを見ると、大手企業の「大作」がずらりと並ぶことはなくなり、個人の開発者や1人で設立・運営する会社「OPC(OnePersonCompany)」が短時間で作り上げたアプリが人気になっている。

中国では最近、一人暮らしの人を対象に開発されたツールアプリ「Demumu」が人気を集めている。これは簡単な仕組みの安否確認ツールで、ユーザーは毎日、「チェックイン・トゥデイ」と書かれた緑のボタンを押さなければならず、もし48時間押さない状態が続くと、あらかじめ設定しておいた緊急連絡先に自動でメールが送信される。このシンプルなアプリは、「安否確認」ができるというコンセプトが一人暮らしの若者の心をわしづかみにした。このツールアプリを「手搓」で制作したのは、「95後(1995~99年生まれ)」の若者3人で、かかった時間は1カ月、開発費はわずか1000元(約2万2000円)だった。

AIを使用することで、自分のアイデアを製品にすることができるため、同じような簡単な仕組みのツールアプリが次々と誕生している。例えば、ガソリン車から電気自動車に乗り換えた場合に元を取るのにどれくらいかかるか計算できる計算機や、1元で販売され100万回以上ダウンロードされている自撮り用補光ライトアプリ「小猫補光灯」など、ちょっとした悩みを解決してくれるツールアプリが人気となっている。中にはかなりの利益を出しているツールアプリもある。

アプリの分野で大きな役割を果たしているほか、AIと成熟した産業チェーンの融合は製造業の分野でもユニークな「手搓マニア」現象を生み出している。ショート動画プラットフォームを見ると、「手搓万物」というハッシュタグが付いた話題の再生回数は延べ50億回を超えている。広東省深セン市の中学生は勉強の合間に「手搓」でロケットを作り、なんと標高1万メートルまで到達させた。四川省の男性・李英豪(リー・インハオ)さんは約3年かけて「手搓」で飛行機を作り、中国民用航空局・飛行装置の耐空証明を発行する部門に高く評価された。

このように、「手搓」はアマチュアがテクノロジーを駆使して起業するための手段となっている。

山東大学・経済学院の劉一鳴(リウ・イーミン)准教授は、「『手搓』は分散型、低コスト、手っ取り早いプチイノベーションの試験というのがその本質。新興の経済形態の『手搓』は個人のアイデアを中心とし、AIツールやモジュール化されたスマート製造プラットフォームを活用することで、イノベーションのハードルを大きく下げることができ、デジタルスキルをマスターしている若者やスラッシャーに起業の機会を提供している」と分析した。(提供/人民網日本語版・編集/KN)

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