2026年2月23日、シンガポールメディアの聯合早報はエコノミストやフィナンシャル・タイムズなど英メディアの報道を基に、世界各国の富豪が集まることで有名なアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで中国の富裕層の移住が増えている現状について分析する記事を掲載した。

記事は初めに、中国富裕層の移住の増加に関するデータについて紹介した。

ドバイでは年間収益が37万5000ディルハム(約1600万円)を超える場合に9%の法人税が課される以外、個人への所得税が課せられない税制や、投資家および高度な専門知識を持つ人向けに最大10年有効で自動更新が可能な「ゴールデンビザ」を発給する制度が存在するため、中国の富裕層の中でも特に「中間層」と呼ばれる5000万~2億ドル(約78億~312億円)の資産を持つ個人の移住が多いという。

この層の多くは起業家で、中国や香港のビジネス環境の変化の影響を受けやすく、さらに23年にシンガポールで発覚した巨額資金洗浄事件の影響で、資金を管理するファミリーオフィス設立の申請が難しくなったことから、シンガポールからドバイへ資本を移動する傾向が見られる。公式データによると、昨年上半期時点でドバイのオフショア金融センターに登録されたファミリーオフィス関連の法人は24年末の800社から1000社に増加した。

次に記事は移住増加の原因について、税制やビザ発給などの優遇以外に二つの理由があると指摘した。一つ目は「地政学的要因」で、22年に西側諸国が対ロシア制裁を開始した際、ロシアの富豪が海外資産を凍結されるなど国際金融市場から締め出される中、ドバイだけは彼らに門戸を開いたことや、米中間の競争激化の中で戦略的バランスを維持しようとするUAE政府の実利的な外交姿勢もあり、中国は近年、人工知能(AI)や自動運転、ロボットなどのテクノロジー分野への投資を通じてUAEを含む中東地域への影響力を拡大している点に言及し、「資産分散やリスク回避を図る富裕層にとって安全な港になっている」と指摘した。

二つ目は「制約の少なさ」で、韓国メディアのアジアトゥデイが取材した関係者の話によると、中国政府の反腐敗運動の強化により政府高官や実業家に海外移住を急ぐ動きがあるほか、「どれほど裕福でもランボルギーニを運転できるとは限らない中国と比べると、富裕層が多いドバイではどんな車に乗ろうと誰も干渉しない」という。さらに、多くの中国人投資家が直近の2年間でドバイの不動産を購入しており、昨年の不動産取引額は前年比20%以上増の9170億ディルハム(約38兆7000億円)に達し、中国国内の不動産市場の現状とは対照的だと指摘した。

記事は最後に「石油依存の経済からの脱却を図る中東諸国へ中国企業が進出を加速することは、地政学的摩擦のリスク分散と新たな成長機会の開拓につながる。不確実性が緩和されない限り、この傾向は続くだろう。しかし、一部の資金力がある犯罪者が東南アジアからドバイへ移動した可能性があるほか、米中対立がさらに激化すれば、中国との取引を理由にドバイも制裁対象となる可能性も排除できない。それでも現時点で外国資本に安全な港を提供し、外交面でバランスを保とうとするこの砂漠の都市は、中国富裕層に一定の安心感を与えている。それはドバイにとって現実的な選択であり、生存戦略ともいえるだろう」と論じた。

(翻訳・編集/原邦之)

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