中国メディアの北京日報は25日、中国で最近注目を浴びる「手搓経済」について、「なぜ突然ブームになったのか」とする記事を配信した。
「手搓経済」とは、人工知能(AI)技術の進歩を背景に、個人や小規模チームが手作業や簡易ツールを通じてアイデアの具体化を迅速に実現する新たな経済形態を指す。
その典型的な例として挙げられるのが、個人開発者が短期間・低コストでアプリをリリースして人気を集めるといったケースだ。「手搓」はもともと、「ショートカットキーなどを使わず、自分の手だけで高度な操作をこなす」ことを意味するゲーマー用語。その後、「専用の大型設備やラインに頼らず、自分の手や簡単なツールで制作・開発・タスクをこなす」行為全般を指すようになった。
記事は、この手搓経済という言葉が突如として注目を集めたことを紹介するとともに、「スマートハードウエアの創業の都」として知られる広東省深センが手搓技術の蓄積によって国内外の作り手から長年注目されてきたとの状況を伝えている。手搓モデルに依拠した革新的実践が大量に生まれる深センは手搓経済の中心的集積地かつ代表的なモデルケースになっているという。
さらに、高度に自動化、大規模化、標準化された現代工業システムの下で時代に逆行するように見える手搓経済が注目を集める現状について、記事はまず、「21世紀、とりわけポスト工業化の段階に入ると、社会経済の重心は『製造』から『創造』へ、『機能の充足』から『意味付け』へとシフトした」と言及。こうした中での手搓経済はもはや非効率や立ち遅れの代名詞ではなく、「デジタル能力、美的表現、文化的なストーリーを融合させた新たな生産パラダイムなのだ」と評した。
記事は次に、「これまでアイデアの製品化には専門的技能や資源の大量投入が必要と考えられ、大勢の非専門家が壁にぶつかってきた。だが、AIツールの出現がこの壁を打ち破った」と指摘。さらにクラウドコンピューティング、モジュール化された部品、成熟したサプライチェーンも生産コストの削減、開発周期短縮の面で手搓経済を支えていると説明した。
このほか、画一的な商品に消費者が徐々に飽きを感じるようになる中、手搓経済はオリジナリティーのある商品を使うことで自らの個性やセンス、ライフスタイルを表現したいという消費者ニーズをまさに満たしていると言及。SNSの台頭でより広範な消費者へのリーチが可能になり、創作過程の可視化やストーリーの共有は信頼構築のコストを下げるだけでなく、一つのコンテンツにもなっているとも伝えた。
記事は、手搓経済の展望について、「一過性のサブカル現象で終わらない」「大規模工業生産に取って代わることはないが、最も活力あるイノベーションの源、細かな市場ニーズに最も応えられる『神経ネットワーク』として主流の工業体系と共存していくだろう」と予測している。
また、将来のビジネス競争は「大魚が小魚を食う」ではなく、「速い魚が遅い魚を食う」構図に変わり、「手搓の力」を柔軟に活用してイノベーションを素早く実現できる組織が市場で主導的地位を占めるようになるかもしれないとの見通しを示した。(翻訳・編集/野谷)











