中国の研究チームは長年にわたりリチウム電池用電解液における酸素配位の動力学的制約を打破し、フッ素化炭化水素溶媒に基づく一連の新型電解液システムを設計・合成し、リチウムイオン電池のエネルギー密度を700Wh/kgに押し上げた。新華社が伝えた。

同研究成果は、南开大学化学学院の研究員である趙慶氏、中国科学院院士で南開大学常務副学長の陳軍氏、上海空間電源研究所の研究員である李永氏が率いるチームによって共同で達成された。関連成果は北京時間26日に国際学術誌ネイチャーにオンライン掲載された。

現在市販されているリチウム電池用電解液は通常、リチウム塩と炭酸エステル系溶媒から構成されている。リチウムと炭酸エステル溶媒中の酸素とのイオン‐双極子相互作用はリチウム塩の溶解を促進するが、溶媒の浸透性が低く使用量が多いため、電池のエネルギー密度をさらに高めることが難しかった。同時に、強い相互作用は電池内部の界面電荷移動を阻害し、低温特性を制限するため、通常-50℃以下では電池の作動が困難となる。

この課題を解決するため、研究チームは一連の新型フッ素化炭化水素溶媒分子を設計・合成し、電解液中でのリチウム塩の有効な溶解を実現し、従来のリチウム‐酸素配位方式の置換に成功した。従来型のリチウム‐酸素配位に基づく電解液システムと比較し、フッ素化炭化水素溶媒は浸透性が高く利用効率にも優れ、電解液の使用量を大幅に削減できる。また、リチウムとフッ素との配位がより弱いため、低温環境下でも電池内で迅速な電荷移動が可能となる。

この新型電解液システムを用いることで、研究チームは室温条件下で700Wh/kgという超高比エネルギーリチウム電池の開発に成功した。さらに-50℃の環境下でも、リチウム電池は400Wh/kgに近い高いエネルギー密度を示した。

趙氏は、「フッ素配位によってリチウム塩を溶解させる鍵は、フッ素原子の電子密度および溶媒分子の立体障害を精密に制御する点にある。同電解液を用いたリチウム電池は高比エネルギーと耐低温性といった優位性を併せ持つ」と説明した。

陳氏は、「同電解液を基盤とする高比エネルギー電池は、新エネルギー自動車、エンボディドAIロボット、低空経済(低空域飛行活動による経済形態)、極寒地域、さらには航空宇宙分野などで幅広い応用可能性を秘めている」と語った。(提供/人民網日本語版・編集/YF)

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