中国では、高速鉄道を利用して老家(実家)の前を通り過ぎた際に、親族が総出で自分の乗る列車に向かって手を振る光景を見た際に、思わず涙が出たとする若い女性のネット投稿に注目が集まった。女性は、子供のころの実家にたどり着くまでの「苦しい旅」を思い出し、高速鉄道の建設当時の状況を思い出し、さらに列車に乗る自分の姿を確認できなくても懸命に手を振る一族の様子に感動したという。中国メディアの中華網などが紹介した。
投稿者の趙さんは自分のことを、吉林省長春市内にある大学の4年生で、実家があるのは同省通化市通化県の下四平村と紹介した。趙さんの子供の頃、実家へ帰る道のりは極めて不便だった。長距離バスに数時間も揺られ、最寄りの停留所で降りた後も長い上り坂を歩かねばならなかった。土の道は雨が降ればぬかるみ、雪の日は凍結してとても歩きにくかった。自動車が使えるようになっても路面の状態がとても悪く、車内では大いに揺さぶられた。
しかし今年の春節(旧正月、2026年は2月17日)に帰省した際には、沈佳高速鉄道が開業したことで、旅の状況は一変した。
趙さんによると、長春にある大学から実家へ帰るには、以前は在来線を利用して、さらにバスに乗り換えるので7時間以上かかったが、現在は3時間足らずで実家に到着する。吉林省の延吉に住む母方の祖母も、以前は帰省の際に大変苦労していたが、今年は延吉から高速鉄道の列車1本で通化まで直行、2時間半で到着できた。
趙さんが帰省に利用するのは、沈佳高速鉄道の瀋陽北駅から長白山駅までの区間で、この区間が開業したのは2025年9月28日だった。工事開始は21年7月で、趙さんの実家の地元では、工事のおかげで職を得た人も多かった。また、趙さんの実家は小高い場所にあるので、一族は高速鉄道路線が何もない状態から建設されていく様子を見守り続けた。
趙さんは、この高速鉄道が開業してから何度か乗車する機会があった。そしてそのたびに、瞬く間に通り過ぎる実家を撮影するために、スマートフォンを窓の外に向けてかざした。最初は上手くいかなかった。趙さんは経験を積むことで、往路と復路で左右逆の窓際の席を予約するなど、「秘伝」を身に付けた。
趙さんは今年の春節で、学業の関係で他の親族より早めに実家を出ることになった。列車がトンネルを抜けた瞬間に、スマートフォンには親族が一緒に立って、列車に向かって手を振って見送る映像が現れた。家族は趙さんがどの車両のどの窓の所に座っているか分からなくても、趙さんが必ず故郷を、そして親族を見ていると確信していた。その瞬間、趙さんの目から涙が溢れ出した。
趙さんは、沈佳高速鉄道が故郷に新たな発展のチャンスと希望をもたらしてくれたと考えている。そして、地元に留まって働くという決意を新たなものにしたという。
なお、中国語の「老家」は通常「実家」と日本語訳され、本稿でも「実家」の語を使ったが、「老家」と「実家」の概念は完全に同じではない。日本では例えば、鹿児島出身の男女が結婚して神戸で暮らすようになり、そこで生まれ育った子が成長して東京で暮らすようになれば、その子にとっての実家は神戸にある父母の住む家ということになる。中国人にとっての「老家」とは本来、父方が先祖代々住んでいた家で、先祖代々の墓も近隣にある。ただし現在では、本人にとって幼少の頃からの思い出深い「心のふるさと」であれば「老家」と見なすなど、「老家」の概念は流動的になりつつある。(翻訳・編集/如月隼人)
— 中国動画 (@RC00547555) February 28, 2026











