ベトナム国営のベトナム通信社は2月28日付で、観光客を相手に法外な料金を要求する商行為が横行している問題を取り上げた。外国人だけでなく自国民を狙った「ぼったくり」も多く、ネットには問題を重視して解決策を提案する投稿が寄せられている。

ハノイに住む35歳の観光ガイドのチ・マイさんは「地元の人でも、旧市街で果物の砂糖漬けを買う場合、価格交渉をしなければ倍の値段で売りつけられます。外国人観光客が4倍とか5倍の値を吹っ掛けられても全く不思議ではありません」と語った。

ベトナムでは外国人観光客が法外な料金を請求され事件がしばしば報道される。2月24日には、米国人女性観光客がハノイ市内の7キロ程度の移動にバイクタクシーを使ったところ、100万ベトナムドン(約6000円)を求められた。目的地をはっきりと告げていたにもかかわらず、運転手は遠回りを続け、この女性客はグーグルマップを開いて警告せざるを得なかった。

ぼったくりや強引な客引きはハノイだけでなく、多くの省や市で発生している。ベトナムの旅行会社であるAZAトラベルのグエン・ティエン・ダット最高経営責任者(CEO)によれば、外国人が多く訪れる観光地では、発生頻度がさらに高い。ダットCEO自身も、ダナン空港からホテルまでタクシーを利用したところ不当な料金を請求されたことがある。車内で電話対応に追われていたところ、運転手が遠回りを始めたという。ダットCEOが理詰めで抗議したことで、運転手はようやく通常の料金での支払いに応じたという。

アジア観光開発研究院のファム・ハイ・クイン院長は、現在のぼったくりや強引な客引きの現象を「タコの足のように一カ所を切り落としてもまた別の場所から生えてきます」「多くの観光地では、あからさまに強引な客引きは減りましたが、より狡猾な手口に変わり、言葉が通じないことを利用して価格をごまかします。外国人だけでなくベトナム人観光客もこの問題に遭遇しています」と説明した。

クイン院長はぼったくりの問題について、被害に遭遇した観光客は「金銭を失っただけでなく、侮辱されだまされたと感じる」と指摘し、さらにSNSに投稿されることで、ベトナムについての悪い評判が全世界に拡散する恐れがあると指摘した。

英国企業のオールクリア保険が2月19日に発表した研究によると、ベトナムはタクシーの詐欺が、トルコ、インド、タイに次いで世界で4番目に多い国だった。英語圏の有力有力掲示板サイトのレディットなどに投稿された、観光関連での不満を示す数千件の投稿を分析しての結論だ。

クイン院長は「観光は感情と信頼に基づく経済産業です」と指摘。観光客が街に出た瞬間に財産の安全を感じられなくなれば、彼らは近隣の、観光システムがしっかりしていて(業者が)専門的で透明性の高い目的地を選択することになるので「そうなれば、ベトナムは観光客を失うことになる」と述べた。クイン院長はさらに、ベトナムの観光業界、特に小規模経営者は、観光業を持続可能な産業と考えず、長期的に信用を築くよりも、目先の利益を優先していると述べた。

AZAトラベルのダット最高経営責任者(CEO)は、観光客相手の商売の多くが、路上での販売であることも関係しているとの見方を示した。さまざまな場所を絶えず移動して商売をしており、周囲の人に顔を知られているわけでもないので、1人の客から1回ぼったくることができれば、「生きていくにはそれで十分」との考えになりやすいからだ。

ベトナム各地の当局も、観光客相手の不当な商取引の摘発に力を入れている。しかしクイン院長に言わせれば、当局のやり方は抑止力に乏しい。例えば、観光客にノンラー(ベトナム伝統の円錐形の葉笠)を25万ドン(約1500円)で売り付けて摘発された業者がいた。通常ならば、3万ドン(約180円)程度の品だ。

まぎれもなく悪質なぼったくりだが、業者に科された罰金は22万5000ドン(約1350円)だった。クイン院長は、「科される罰金が得られる利益よりも少なければ、これらの人々は恐れることなく繰り返します」と述べた。

クイン院長によれば、不当な商売をした業者には経済面での厳しい処罰を科す必要があり、観光区で違反を繰り返した場合には営業を永久に禁止すべきだ。また、業者に職業倫理などの教育を受けさせたり、行政が経営者に対して誓約書を提出させることも有効と考えられる。

繰り返される観光客へのぼったくり事件に対し、ベトナムのネットユーザーも次々と意見を寄せている。ぼったくり事件を起こした当事者への厳しい処罰を望む点では共通だが、中には「今はSNSがすでに非常に普及している。ぼったくりの情報があれば、皆でちょっとだけ手間をかけて投稿すればよい。情報を得た当局が確認して厳格に処理すれば、すぐに解決する。カメラを通じて運転手の交通違反を非対面で取り締まるのと同じだ」と、ネットの活用を提言する書き込みもある。(翻訳・編集/如月隼人)

ハノイなど各地で横行するぼったくり、自国民も大いに問題視―ベトナムメディア

編集部おすすめ