2026年3月1日、シンガポールメディアの聯合早報は、米国とイスラエルによるイランへの大規模空爆に対する中国の姿勢や、中国への影響について分析する記事を掲載した。
記事は、2月28日に米国とイスラエルがイランを突如空爆し、最高指導者ハメネイ師を含む複数の指導者が死亡したと紹介。
その上で、指導層を失ったことによるイラン現政権の存続が疑問視されており、政権崩壊となれば中東の政治構造が大きく変わり、中国の地域利益にも影響が及ぶと分析している。
一方で、この非常事態に対する中国の反応は「比較的穏やか」だったと指摘。中国外交部が公式声明ではなく記者会見での回答という形式を取り、米・イスラエルの軍事行動を公然と「非難」する表現を避けた上で、イランの主権尊重と軍事行動の即時停止を呼び掛けるにとどまったと伝えた。
また、傅聡(フー・ツォン)国連常駐代表も同28日の国連会議で「深い懸念」を表明したものの、やはり直接的な非難は避けたと紹介。ロシアが声明で米イスラエルを「武装侵略」と強く非難したのとは対照的だったとしている。
記事は、中国の姿勢について、戦争で公然とどちらかに肩入れすることを避け、情勢の推移を見極める戦略をとっていると分析。現時点でイランを支持すれば、将来政権交代が起きた際に新政権との関係構築が困難になるリスクがあると解説した。
さらに、この衝突が中国経済にもたらす「二面的な影響」にも言及し、ネガティブな面では、イランが中国の原油輸入の10%から13%を占める第3位の供給国であり、原油価格高騰やエネルギーコスト上昇が懸念されることを指摘。イランでの1000億ドル(約15兆6000億円)超の投資が戦火や制裁で停滞する可能性があるほか、米国による2次制裁の強化が人民元の国際化を妨げる恐れがあるとの見方も紹介している。
ポジティブな面については、米国が中東に深く関与することでインド太平洋地域での対中抑止力が分散され、戦略的チャンスが来る可能性があるとした。また、紛争を契機に産油国が人民元決済を検討する動きが加速し、中国がロシアや中央アジア、アフリカとのエネルギー協力を深める余地が広がるとも論じた。
記事は最後に、中国とイランの関係は経済的利益が主軸であり、イランは中国の周辺国ではないため戦略・安全保障上の影響は限定的だとしたほか、21年にイランと25年間の戦略協力協定を結び4000億ドル(約62兆4000億円)の投資を約束したものの、その履行が限定的にとどまっていることも指摘した。
そして、誰がイランで政権を握ろうとも中国との経済関係を完全に断ち切る可能性は低く、これが中国政府が全体として冷静さを保っている主な理由だと結論づけた。(編集・翻訳/川尻)











