車両の自動運転を手掛ける中国企業の多くは、2026年には海外進出を重視する戦略を採用していた。しかし、中東では情勢悪化に伴い、中国の無人配送車関連でトップ企業である新石器無人車が主導して進めてきたビジネスに「急ブレーキ」がかかることになった。

中国メディアの観察者が伝えた。

新石器は5日、取材に対して、現地情勢の悪化により無人配送の商業化運営は「一時停止ボタン」を押すことを余儀なくされたと説明した。新石器の関連責任者は状況の急変の直後に、「現在の最優先任務は現場スタッフの安全を保障することであり、今後は現地の監督管理機関や戦略的パートナーと緊密な意思疎通を維持し、情勢の発展に基づき適時に運営再開を手配する」と表明した。新石器はUAEその他の中東市場を開拓するために、長期にわたり系統的な準備作業を行ってきた。今回の商業化の一時停止により、これまでの大量の投入を商業価値に転換することが、少なくとも一時的には困難になった。

新石器のUAEにおける実績としてはまず、25年の現地の監督管理部門が発行する車両ライセンスおよび合法的な路上走行許可を他社に先駆けて取得し、「炭素その他の廃棄物ゼロ」の理念により建設中のマスダール・シティで初の無人配送の商業化のための実証を成功させたことなどがある。

新石器はさらにUAEの国有AI企業であるK2グループとの戦略的協力を実施し、中東の砂漠気候や複雑で多様な地形、および現地の厳格な監督管理基準に対応する無人配送ソリューションを共同で構築し、中東地域への進出に伴う重要な難題を解決した。また、過去数カ月にわたりUAEでの作業を続け、現在までに車両の整備、全プロセスの技術調整、運営チームおよび運営体系の構築がすべて整い、大規模な商業化サービスを提供する手はずは整っていた。

中東情勢が悪化、現地での無人配送車ビジネスが「急ブレーキ」―中国メディア

新石器の当初計画によれば、26年にはUAEを含む中東地域に1万台のL4級無人配送車を配備し、中東地域最大の無人配送車ネットワークを構築することになっていた。

新石器の中東への進出は、自社だけでなく中国企業の「集団での海外進出」であり、そのため、事業の展開中止は多くの企業に及ぶことになった。新石器は中国国内のクラウドコンピューティング、移動通信、インターネット地図、充電ポストなどの上流下流のパートナーと連合して中東地域に無人配送車と高度に適応するエコシステムインフラを共同で構築した。技術サポート、ハードウェアのセットからサービス保障に至るまで、完全な産業エコシステムチェーンを構築し、成熟した「中国の知恵による物流ソリューション」一式を中東市場へ輸出するとともに、中東市場での実績を踏み台に世界に進出することを目指していた。

このような全産業チェーンの海外進出モデルは、本来は中国企業が海外市場の競争力を高め、単一の運営リスクを低減するための重要な措置だったが、地域情勢の危機的事態は、産業チェーンの各段階がいずれも停滞する試練をもたらした。参画企業はいずれも、これまでの投資を回収するめどが立たなくなった。

ある産業関係者は、今回の事態は中国のテクノロジー企業ないしすべての海外進出企業に警鐘を鳴らしたと述べ、「グローバル化を展開する過程において、技術の現地化、製品の現地化、運営の現地化という中核になる準備を整えるだけでなく、さらに地政学的情勢のリスク評価と緊急対応体系をしっかりと確立することが極めて重要」と指摘した。(翻訳・編集/如月隼人)

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