李強総理は今年の政府活動報告で、「中国は今後5年以内に『出産にやさしい社会』を構築する。これに向けて、出産促進政策を整備し、育児手当の支給、手頃な価格の保育サービスの充実など、一連の施策を進めていく」と表明した。
中国国家統計局の統計データによると、2025年の中国全国の出生人口は792万人、出生率は5.63‰(パーミル 1/1000)で、1949年以降で最低を記録した。一方、死亡者数は1131万人、死亡率は8.04‰で、人口自然増加率はマイナス2.41‰となり、人口はすでに4年連続でマイナス成長となっている。出生率の低迷が続けば、中国社会全体の持続可能な発展にも影響が生じる。人口のマイナス成長時代に入った今、適度な出産水準と人口規模を維持するために出産にやさしい社会を構築することは、中国の人口政策における必然的な選択となっている。中国政府は今年、出生率の向上のために約1800億元(約3兆9600億円)を費やす見通しだ。これを受け、英メディアは「中国の取り組みは世界の趨勢と一致するものであり、人口の高齢化に対応する理性的な選択だ」と報じている。
人口問題は国の経済と人々の生活に直結する。「産みたくない」「産む勇気がない」という難題をいかに解決し、「産みたい」「安心して育てられる」と感じられる社会環境をどうやって整えるのか。中国政府はそのために一連の措置を打ち出した。
2025年1月1日から、中国では法令に基づいて出生した3歳以下の乳幼児に対して、1人あたり毎年3600元(約7万9200円)の育児手当を満3歳まで受け取ることができるようになった。これについて、ドイツのメディアは、「中国の国家育児補助金は積極的な一歩であり、大きな節目だといえる。これは、中国が全国統一の出産支援システムを形成したことを示している」と指摘している。
また、全国政治協商会議の委員で海南省婦人児童医学センターの首席専門家の盧偉英氏は、「出産にやさしい社会建設の核心は、女性のライフサイクル全体に配慮することにある。これは『産めるかどうか』という医学的問題だけではなく、出産観念の確立、職場での権利保障、母子の健康管理、青少年の健全な成長、さらには更年期の安定した過ごし方までを含む、総合的なプロジェクトでもある」と指摘する。
現在、多くの若い親たちは「子供が生まれたら誰が世話をするのか」「保育施設の費用はいくらなのか、安心して任せられるのか」 といった不安に直面している。
全国人民代表大会の代表で陝西省西安市の第二保育園の教師の白華氏は、かつての状況について、「以前は子どもを預ける場所もなく、行き届いた世話ができない状況も多かった。共働き家庭が多く、祖父母の体力にも限界がある上、育児観の違いもあった。子育てと仕事の両立は難しく、多くの親が不安や焦りを感じていた」と指摘した。比較的費用が安い公立保育施設の整備は「子供を預ける人がいない」「育児が難しい」「保育費用が高い」といった問題を解決し、家庭の育児負担を確実に軽減するための重要な措置となっている。
こうした中、保育サービス法草案が2025年末、初めて全国人民代表大会常務委員会会議の審議に提出された。草案では「公立保育サービスを基本公共サービスに段階的に組み入れる」ことが明記されている。これは、乳幼児の養育が国と社会が共に担うべき公共の責任となることを意味している。つまり、子育ては「家事」から「民生に関わる重要な問題」となり、「家庭の責任」から「政府、社会、家庭が共同で担うべき責任」へと変化しつつあるということだ。
「出産にやさしい社会」の実現は、補助金や育児休暇だけでは十分とは言えない。











