2026年3月9日、台湾メディアの自由時報は、アジア経済を支えてきた「地政学・貿易秩序・技術拡散」の3大支柱に亀裂が生じ、経済モデルが崩壊の危機にあると報じた。

記事は、地政学面での最大の変化として、日本と韓国が長年頼ってきた「有事の際は米国が守る」という安全保障上の前提が揺らいでいる点を指摘。

米トランプ政権の一連の行動が「主権には対価がある。米国はもはや無条件に安全保障体制を維持しない」というシグナルを発しているとの見方を伝えた。

その上で、台湾問題がこの不安を極限に高めていると指摘。世界のハイエンドチップの約90%を生産する台湾で衝突が起きれば、TSMCだけでなくシンガポールやベトナムなど地域全体のサプライチェーンが崩壊しかねないという専門家の見解を紹介した。

また、ニューヨーク・タイムズが台湾海峡で危機が発生した場合に米国の国内総生産(GDP)が11%、中国経済が16%それぞれ縮小する可能性があると試算したことにも言及した。

記事は続いて貿易秩序の問題に触れ、アジアのサプライチェーンでは製品が最終商品になるまで平均6回国境を越えると説明。こうした転送を通じた関税回避を防ぐため、米国が転送品に最大40%の関税を課す可能性があり、シンガポールやベトナム、タイは複雑なコンプライアンス対応を迫られると報じた。

このほか、ベトナムやマレーシア、タイ、シンガポールなどアジア諸国はGDPの半分以上を輸出が占め、グローバル化の恩恵に最も依存してきた地域だとした上で、関税優遇措置の縮小や企業の在庫積み増しの一巡など、近年の成長を支えた要因が今後薄れるにつれ、これらの地域の経済モデルが大きなリスクを抱えることになると指摘した。

記事は最後に技術拡散の問題に触れ、中国が人工知能(AI)と自動化で製造業の競争力を急速に高めており、アジア諸国が頼る低コスト労働力の優位性が失われつつあると伝えている。(編集・翻訳/川尻)

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