2026年3月10日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、技術競争で中国の優位が拡大し欧州が地政学的独立性をも失いかねないとする独ハンデルスブラット紙の論評を伝えた。

記事は、豪シンクタンク・オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)の最新報告として、中国が74の主要技術分野のうち66でリードしている現状を紹介。

過去20年以上にわたり欧州連合(EU)や米国、英国のハイテク研究開発のシェアが低下傾向にある一方、中国は優位を拡大し続けていると伝えた。

その上で、欧州が後れを取る構造的な要因として、シンクタンクのブリューゲルが指摘する「断片化された成果」、すなわち強力な研究能力が孤立し規模やビジネスモデルに結びついていない現象に言及。対照的に中国は研究資源を集中させ、政府資金と産業目標を統合することで世界市場をリードする成長産業を生み出していると分析した。

記事は、こうした課題を踏まえ、欧州は規制への過度な依存から脱却し、中国の「精密な補助金」の論理、すなわち期限と成果に連動した資金援助を学ぶべきだとするブリューゲルの提言を紹介。公共調達を技術需要のエンジンとして活用し、28年までに公共契約の30%以上でEUの人工知能(AI)や半導体技術を使用すべきだとしていることを伝えた。

またAIやロボット工学、半導体などの将来技術で先行できなければ、経済的繁栄だけでなく軍事的抑止力を維持する財政能力、ひいては地政学的独立性をも失うと警告し、欧州は独自の技術革新アジェンダを持つ必要があるとも報じている。

ドイチェ・ヴェレはこのほか、スイス紙ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥングの論評も併せて紹介。同紙が科学技術を国家的目標と結びつける「中国式科学主義」の台頭に触れ、そのイデオロギーを危ういものとして一方的に批判するのではなく、西側にも欠点があることを自覚すべきだと指摘していることを伝えた。(編集・翻訳/川尻)

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