仏国際放送局ラジオ・フランス・アンテルナショナル(中国語版)は10日、「中東戦争は水資源争奪戦に発展するのか?」と題する記事を掲載した。

記事は、米国とイスラエルによるイランへの攻撃で始まった戦争は「新たな段階に入りつつある」と指摘。

8日にバーレーン当局が、同国内の海水淡水化施設がイランのドローン攻撃によって損傷したと発表したことに触れた上で、「イランはその前日に、米国がイランのゲシュム島に対して同様の攻撃を行い、30の村の給水に影響を与えたと非難していた」とその背景を説明した。

その上で、「イランの今回の攻撃は、バーレーンが自国領土で米軍による対イラン攻撃を認めたことへの報復である可能性がある。イランは水資源をめぐる戦争を最初に仕掛けたのは米国だと非難しているが、ホワイトハウスはこれを否定している」とし、「責任の所在は米国なのか、それともイスラエルなのかを問わず、最初に水処理施設を攻撃した側が戦争を新たな段階へと押し上げたことは間違いない」と論じた。

記事は、「第一に、戦争に関するジュネーブ条約の規定では、交戦当事者はいずれも原子力発電所、ダム、水処理施設などの重要インフラを攻撃してはならないと定められている」と指摘。ドイツの独立系シンクタンクで気候問題・環境安全問題の専門家であるベンジャミン・ポール氏の話として「水が生命の存続に必要不可欠なものであることは誰もが知っている。国際人道法では、民間人の生存に不可欠な施設は攻撃してはならないと定められている」と伝えた。

そして、AFP通信の報道として「実際には戦時中に水資源を標的とした攻撃は非常にまれであるが、中東の紛争では海水淡水化施設への攻撃はしばしば見られる。これは海水淡水化施設が、この地域で数百万人の生活を支える重要なものだからである」と説明し、「中東地域は世界で最も乾燥した地域の一つであり、水資源の供給量は世界平均の10分の1しかない。フランス国際関係研究所(IFRI)によると、アラブ首長国連邦(UAE)では飲料水の42%が海水淡水化施設から供給され、クウェートでは90%、オマーンでは86%、サウジアラビアでは70%を占めている」と伝えた。

また、フランスの経済学者エステル・クラウザー=デルブール氏が「中東地域は海水淡水化施設がなければ何も成り立たないと言ってよく、特にドバイやリヤドのような大都市にとっては極めて重要な戦略的インフラである」と述べたことを紹介した。

記事はさらに、「アラブ諸国だけでなく、イスラエルの産業や民生も同様に海水淡水化技術に大きく依存している」と指摘。「もしイランが大規模な反撃を行えば、都市の給水システムが全面的にまひし、経済面では産業チェーン全体が停止することになる」とする一方、「もちろんイラン自身も水資源が不足している国であり、近年は歴史的な干ばつにも見舞われている。

さらに水資源管理の不備も重なり、当局は昨年秋、首都テヘランの住民の避難を一時検討したこともあった」とした。

記事によると、米紙ニューヨーク・タイムズは「イランが米国やイスラエルに対して十分な報復能力を持たないこの戦争において、水が重要な武器として利用されている」と指摘。AP通信も「イラン政府が湾岸諸国の弱点である石油施設や海水淡水化工場を攻撃し、米国の同盟国らに対して介入、あるいは停戦を呼び掛けるよう迫ろうとしている」との見方を示した。また、米ブルームバーグが掲載したコラムでは「軍事衝突がさらに激化すれば、水資源が米国とイランの戦争の勝敗を左右する重要な地政学的資源となる可能性がある」と指摘されている。(翻訳・編集/北田)

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