中国税関総署が10日発表した1~2月の貿易統計によると、輸出(ドル建て)は前年同期比21.8%増となり、昨年12月の6.6%増から大幅に加速した。電子機器の旺盛な需要が追い風となったが、今後についてロイター通信は「イラン戦争などの不確定要素も」と伝えた。
貿易統計によると、1~2月の輸入は前年同期比19.8%増で、12月の5.7%増を上回った。 貿易収支は2136億ドル(約34兆円)の黒字。前年同期の1692億1000万ドルを大幅に上回り、市場予想の1796億ドルも超えた。イランでの戦争に伴うエネルギーや海運への影響が一段と広がらなければ、今年の貿易黒字は昨年記録した過去最大の1.2兆ドルを上回る可能性がある。
英国のエコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)のシニアエコノミストは「人工知能(AI)投資ブームを背景に、集積回路やハイテク製品の輸出の強さは予想通りだ」と指摘。東南アジアや南アジアとの競争で苦戦していた衣類や繊維、バッグなどの輸出が伸びたことについては「驚きだ」と述べた。
ロイター通信は「3月の統計では米最高裁による関税猶予措置を利用しょうとする対米輸出の駆け込みや繊維などの低付加価値分野でのシェア奪還の動きが反映される見通しだ」と報道。 地政学リスクを専門に扱うコンサル会社ユーラシア・グループの中国担当ディレクターは「主要な欧米経済が財政拡張局面に入っている」と分析し、「電気自動車(EV)、リチウムイオン電池、太陽電池の『新御三家』に対する根強い需要も輸出を押し上げている」とした。
今後の見通しについて、オランダの総合金融機関INGの中華圏担当チーフエコノミストは「輸出の勢いがこのまま続くとみるのは『危険な賭け』」と言及。イラン戦争によるエネルギー価格への影響が各国経済にスタグフレーションをもたらす可能性があると警告した。
その一方で、「イラン戦争が非常に早く終わるというトランプ米大統領の予測が現実となり、速やかな解決が見られれば、今年の外需押し上げ効果はより限定的になるというわれわれの見通しは、見直しが必要になるかもしれない」と述べた。
中国の輸出主導による経済成長を左右するもう一つの大きな不確定要素は3月末に北京で開催予定のトランプ氏と習近平国家主席の首脳会談だ。
エコノミストらは今回の堅調な統計を受けて、政策当局が追加の景気刺激策を先送りし、輸出依存をさらに強める可能性があると予測。 あるエコノミストは「力強い輸出実績と低い公式成長目標という状況を踏まえると、中国が短期的に追加の景気刺激策を導入する可能性は低い」との見方を示した。(編集/日向)











