仏国際放送局ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)中国語版は12日、「イランは本当に中国とロシアから見捨てられたのか?」と題する記事を掲載した。

記事は、米国とイスラエルによる攻撃を受けたイランについて、「国際的に孤立している」との見方が広がっていると説明。

特に注目されているのが、イランと近しいとされる中国とロシアの対応だとした上で、「中国とロシアはいずれも外交的には米国とイスラエルを非難した。しかし、両国の対応は主に外交声明にとどまり、軍事支援などの具体的な行動は確認されていない」と指摘した。

そして、中国が慎重な姿勢を取る背景にはエネルギーと経済の問題があると言及。「中国は中東から大量の石油と液化天然ガスを輸入しており、湾岸地域は極めて重要な供給源となっている。中国が輸入する石油のうち、湾岸諸国からの割合は約45%に達しており、輸入が滞れば中国経済にも大きな打撃となる可能性がある。すでに国際原油価格は上昇を始めており、エネルギー価格高騰は中国の産業や経済成長に大きな負担となる。そのため中国政府は事態の安定化を望みつつ、一方へ肩入れすることを避けている」との見方を示した。

また、中国の安全保障の重点は台湾問題や南シナ海に置かれており、中東で軍事的な責任を負うことには消極的であるとの見方もあると紹介。「中国の対外関係は米国のような軍事同盟ではなく、貿易や投資、武器輸出を基盤としたパートナー関係が中心であり、直接的な軍事介入を避ける傾向が強い」と指摘した。

ロシアについても事情は似ているようだ。記事は「ロシアとイランは軍事面で協力関係にあり、ウクライナ戦争ではイラン製無人機(ドローン)がロシア軍の作戦に大きく寄与したとされる」とする一方、「近年ロシアは自国でのドローン生産を拡大し、イランへの依存度を徐々に低下させている。またロシアにとって現在の最優先課題はウクライナ戦争であり、米国と直接衝突するような形でイランを支援する可能性は低いとみられている」と論じた。

さらに、石油市場や湾岸諸国との関係もロシアの判断に影響しているとし、「もしロシアがイランを強く支援すれば、イスラエルや米国だけでなく、湾岸諸国との関係にも悪影響が及ぶ可能性がある。そのためロシアは表向きは慎重な姿勢を保ちつつ、必要に応じて情報提供などの形で間接的に支援しているとの見方もある」と伝えた。

記事は、今回の中東情勢が米中競争とも関係している可能性にも言及。米国がイランの石油インフラを完全には破壊していないのは、中国への圧力カードとして残しておきたいという思惑があるのではないかという見方もあるとしたほか、この戦争によって米軍が中東に戦力を投入した場合、中国はその作戦能力を観察することができ、将来の台湾問題などへの参考になる可能性もあるとした。

そして、中国とロシアはイランを完全に見捨てたわけではないとし、「両国にとってエネルギー安全保障やウクライナ戦争、米国との関係など、より重要な戦略的利益が存在するため、現実的で慎重な対応を取っている」と指摘した。(翻訳・編集/北田)

編集部おすすめ