2025年度河南考古工作成果交流会で、殷墟(いんきょ)王陵区の一連の中小型祭祀坑内から大量の野生動物の骨格および関連する遺構が出土したことが発表された。考証の結果、中国でこれまでに発見された中で最古の、野生動物を人工飼育した跡と分かった。

中国メディアの人民網が伝えた。

中国社会科学院考古研究所の李瀟檬助理助研員によると、新たに整理された祭祀坑からは大量の野生動物の骨格が出土した。鑑定の結果、ゾウ、聖水牛(絶滅した水牛の一種)、シカ、ノロジカ、オオカミ、トラ、ヒョウ、キツネ、カモシカ、イノシシ、ヤマアラシなどの哺乳類のほか、ハクチョウ属、ツル属、ガン属、ハヤブサ属、ワシ属など5つの属の鳥類が確認された。一部の動物の骨格の首や頭部の付近には銅鈴が掛けられていた。

李助理助研員は、「銅鈴は飼い慣らされていた証しです。これらの動物はおそらく、一時的な狩猟で得られたものではなく、王や高級貴族の庭園で専門的に飼育されていた珍獣だったことを示しています」と述べた。

殷墟から大量多種の動物の骨が出土、3000年前の動物園と判明―中国
河南省安陽市殷墟遺跡

中国社会科学院考古研究所の牛世山研究員は、野生動物の集中的な出現と標準化された処理は、殷代にはすでに完備された野生動物の獲得方法や、飼育および管理の体系が形成されていた可能性を示すと考えている。

殷墟から大量多種の動物の骨が出土、3000年前の動物園と判明―中国
河南省安陽市殷墟遺跡

中国社会科学院考古研究所安陽工作隊は近年、殷王の陵を中心とする洹河北岸全域での考古学調査を続けてきた。調査により王陵区の周辺を取り囲む堀を発見しただけでなく、発見した一連の祭祀坑内からは非常に多くの種類の動物が出土した。うち聖水牛の坑は殷墟の考古史上初めての発見で、以前は肢骨が見つかっていただけだった。また、年齢の異なる4頭のシカが重なり合って押し込まれた、極めて珍しい完全なシカ坑も発見された。さらに人とゾウの組み合わせ坑の発見は、殷代後期の河南地区にゾウが生息していたことを改めて裏付けた。

殷墟での考古学の新展開は、3000年余り前の古い文明が残したメッセージを今に伝え続けている。牛研究員は、多角的な研究によって殷墟王陵区の祭祀坑内の動物の由来地と飼育形式が解明され、殷代の卓越した資源のコントロール能力と物資流通のネットワークがさらに裏付けられたと述べた。牛研究員は「数多くの動物祭祀坑は、殷代の祭祀における犠牲制度の豊かな内実を明らかにし、殷代の宗教信仰と礼制体系を考える上での中核となる支えが提供されました」と、「3000年前の動物園」の発見の学術上の価値を強調した。(翻訳・編集/如月隼人)

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