経済や社会トレンドの中国人研究家である馬江博(マー・ジアンボー)氏はこのほど、中国の大学では2年間で1万以上の専攻コースが廃止されたとして、関連する状況を紹介する文章を発表した。

中国伝媒大学(中国メディア大学)は2025年に翻訳や撮影などの16の本科専攻コースとサブ専攻コースを廃止した。

中南大学は学部生として募集する本科専攻を104から89に減らした。

24年から25年にかけて、全国の大学で累計6638の本科専攻コースおよび8200余りの高等職業教育の専攻コースが撤廃または募集停止になった。

中国には、大学の各専攻について、行政が社会ニーズとの乖離や就職率の低さに基づいて「専業預警(専攻警告)」を発表する制度がある。目的はまず受験生へのリスク開示で、同時に大学に対して募集定員の削減やコースの廃止、新設禁止を事実上強制する強力な行政指導の枠組みだ。

大手の専門教育メディアが山東、甘粛、四川、河南、黒竜江、山西、湖南、河北、天津の9省市が発表した専攻警告を収集したところ、計178の専攻に関係していた。人々に衝撃を与えたのは「コンピュータ科学・技術」「データ科学・ビッグデータ技術」「ソフトウェア工学」などがリストに入っていたことだ。いずれも「就職に有利」と考えられてきた専攻だ。

問題は、4年制学部でこれらの専攻を学んでも、レベルは「一般的な教養」にとどまってしまい、社会が必要とする最先端の科学技術と相当な距離が開いていることだ。そのため、就職できない若者が大量に出現した一方で、ハイテク企業側は新しい技術人材を急いで求めている。

人工知能(AI)などの新技術の影響を強く受けている専攻コースもある。南昌大学は演劇映画テレビ文学、放送テレビ編集・制作、アニメーションなどの専攻コースを廃止した。さらに典型的なのは外国語専攻だ。

AIのリアルタイム翻訳が日増しに成熟するにつれ、湖南、福建、河南などの省はすでに英語を含む外国語専攻について、専攻学科の設置を制限する政策を実施しており、新設を認めず、かつ年を追うごとに募集人数を削減するよう要求している。
時代の流れに対応、中国の大学では2年で1万以上の専攻コースが消滅―中国人専門家
中国伝媒大学

消失する専攻があれば新設される専攻もある。例えば中国伝媒大学は撮影専攻を削減すると同時に、スマート映像芸術、スマート視聴覚工学、スマート工学・創意設計の三つの専攻コースを開設した。復旦大学も強みのある10学科で「学術型学科博士+専門型AI修士」のダブル学位プロジェクトの建設を試験的に開始しており、その中には哲学、経済学、ジャーナリズム・コミュニケーション学、中国言語文学などの伝統的な文系コースもある。

ただし学科が「文系」のように見えても、実際の教育内容は「理工系」の色彩が濃厚だ。このことは、時代の転換期にあって、国が産業のアップグレードを推進するためには、科学技術が先行せねばならないことが反映されている。

中国政府が1月に通達した「教育強国建設計画綱要(24―35年)」は、人材が急速に求められる専攻コースを「超常的」に配置するという要求を明確に打ち出した。その後、全国の各省が続々に発表した25年の政府活動報告は、理工系の比率を高めることを重点的な活動任務とした。

こうして見ると、中国伝媒大学や中南大学などの有名大学による専攻コースの調整は、まさにこの教育体系の変革の具体化と言える。(翻訳・編集/如月隼人)

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