2026年3月22日、中国メディア・新京報は、「中国人男性の半数は67.7歳まで生きられない」とする言説が広く流布した問題について、生成AIと個人メディアが相互に引用することで誤情報が生成・拡散される新たなメカニズムに警鐘を鳴らす論評を掲載した。

中国の報道によると、中国では近ごろ「男性の死亡年齢の中央値は67.7歳にすぎない」という情報がSNS上で広く拡散され、「大半の中国人男性は70歳まで生きられない」と拡大解釈される事態に発展していた。

また、個人メディアが「国家統計局の公式データ」「国連の人口報告」などさまざまな「出典」を挙げて権威あるデータだと主張して広めたことで、多くのネットユーザーの間に不安を呼び起こした。

新京報の記事は、解放日報の記者がこの数字を検証した結果を紹介。国家統計局の第7回全国人口センサスでは中国人男性の死亡年齢中央値が70~74歳、国連の「2024年世界人口展望」でも73歳とされており、「67.7歳」を示すデータはどこにも存在しなかったと伝えた。

さらに記者が大規模言語モデルに同じ質問をしたところ「67.7歳」という回答が返ってきたことに言及。出典を求めると「国家統計局等の公式データ」との答えがリンクとともに出力されたものの、実際のリンク先は個人メディアの記事だったと紹介した。

その上で、誤情報が生成されたメカニズムについて、大規模言語モデルが「ハルシネーション(幻覚)」と呼ばれる事実に基づかない情報を出力し、個人メディアがそれを無批判に引用して記事を作成、さらにその記事が大規模言語モデルの学習データに取り込まれることで、相互引用による論理的な閉鎖回路が形成されているとの見解を示した。

記事は、こうした「大規模言語モデル+個人メディア」の混在型フェイクニュースが、意図的な捏造(ねつぞう)とは異なり、一見すると真面目な検証を経たように見えるため、かえって欺瞞(ぎまん)性が高いと警告。「ディープサーチ時代のディープフェイク」とも呼べる現象だとし、AI時代においても独立した思考を機械に委ねてはならないと論じた。(編集・翻訳/川尻)

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