米国とイスラエルによるイラン攻撃で、中東からの石油供給が混乱し、歴史的な石油ショックと燃料価格の高騰を招いている。米CNNは「この混乱は激しい価格競争と成長鈍化に直面して苦境に立たされている中国のEV(電気自動車)産業にとって絶好のタイミングで訪れた」と伝えた。
CNNは「中国が低価格EV市場における世界的なリーダーとなるのを支えた国家支援は、同時に国内自動車メーカーにとって熾烈(しれつ)な競争環境を生み出した。現在多くのメーカーが供給過剰の市場で生き残りをかけて苦闘している」と報道。「中国は世界最大のEV製造・輸出国であるものの、国内メーカーは激しい価格競争と成長鈍化に直面している。中国ブランドは新たな市場開拓へのプレッシャーをますます強く感じている」と続けた。
コンサルティング会社アリックスパートナーズの推計によると、2024年時点で市場に出回っている129の中国EVブランドのうち、30年に採算が取れるようになるのはわずか15ブランド程度にすぎない。中国政府がEV普及支援のための補助金を段階的に廃止するにつれて、国内需要はさらに鈍化するとアナリストらは予測している。
CNNによると、中東で約1カ月続く紛争はアジア地域が依然として石油輸入に依存していることを浮き彫りにした。アジアの原油供給量の約60%は石油輸送の要衝・ホルムズ海峡を経由して中東から供給されているが、イランはこの海峡における貨物輸送を厳しく制限している。
エネルギーシンクタンクのエンバーは最近の報告書でEVを「輸入コスト削減のための最大の手段」と位置付け、昨年のEV利用によって世界の原油消費量が日量170万バレル削減されたと推定している。これは25年のイランの原油輸出量の約70%に相当する。
石油の40%以上を中東から輸入している中国では再生可能エネルギーへの転換が功を奏している。世界最大規模の石油備蓄と世界最大の風力・太陽光発電量を誇り、中国は他のアジア諸国よりもエネルギー危機の影響を強く受けにくい状況にある。
中国のEVは新車販売台数の約50%、登録車両全体の約12%を占める。エネルギー・クリーンエア研究センター(CREA)の主任アナリスト兼共同創設者、ラウリ・ミルビルタ氏の推計によると、中国ではEVの普及が進んだことで昨年の石油消費量が約10%削減された。
CNNは「最近の原油価格の高騰は自動車メーカーにとって国内市場における待望の追い風となる可能性があるが、過剰供給を吸収するためには依然として海外市場が必要になるとみられる」と言及。アリックスパートナーズの自動車コンサルタント、章一超氏は「原油価格の上昇が中国のEV市場をさらに拡大させるとしても、2倍になるわけではない。過剰生産能力の問題をすぐに解決できるとは思えない」との見方を示した。(編集/日向)











