高市早苗首相は10日、日本成長戦略会議の場で、半導体や人工知能(AI)、量子技術、先端医療、造船など17の分野を巡る「官民投資ロードマップ」を発表し、優先的に支えていく61項目の重点製品と技術のリストを示した。香港誌の亜洲週刊はこのほど、AIを全面に押し出す日本の戦略は、「中国のお株を奪う」ことに照準を合わせていると指摘する毛峰東京支局長の署名入り記事を発表した。

日本はAI搭載ロボットで米中と肩を並べる第三極を目指す

この日本成長戦略はAIと半導体を発展の最大のけん引役として、AIロボットなどフィジカルAI(AIを搭載した物理的に動く機械)とそのような機械に最適な半導体の開発を推進するものだ。

日本はAIを搭載したロボットで、米国や中国と肩を並べる第三極になることを目指し、世界市場で30%以上のシェアを獲得し、2040年に見込まれる60兆円の世界市場の中で20兆円を占めることを目指す。

日本の強みは産業用ロボット分野で世界的に約70%の市場シェアを保有していることであり、構造的な労働力不足問題に対応するために、さまざまな作業環境におけるロボット技術の応用を後押しする考えだ。

産業ロボットに関する日本の強みと弱み

世界のフィジカルAI時代の競争の重点は、単にウェブデータや計算資源の規模を競うことから、AIとロボット、現場データ、安全信頼性、持続的な運用保守を統合させた「統合力と運用力」の競争へと転換しており、日本と中国にはこの競争において、それぞれの強みと弱みがある。

日本の強みは、産業用ロボット分野における歴史的な蓄積が深く、サプライチェーンが成熟しており、中核となる部品についての基盤が強い点だ。すなわち、製造現場のデータが多く、工場の生産性に関する経験により積み上げた技術が高度で、実際の使用の有用性が高く、信頼性も高い。

しかし、将来に向けて伸びしろが大きいと考えられるサービス型ロボットと多目的ロボット市場では、日本のシェアはわずか11.7%であり、一方で中国は33.3%に達している。これは、日本が新しいシーン、新しいビジネスモデル、普及能力において、中国に大きな後れを取っていることを示している。

そして中国は今や、フィジカルAI分野において世界一の産業用ロボット大国だ。中国の公式発表によれば、第14次五カ年計画が始まった21年以来、中国での産業用ロボットの新規設置台数は世界の50%以上を占めている。うち24年には新規設置が29万5000台で、稼働中の産業用ロボットは202万7000台を突破した。さらに中国の産業ロボット市場における中国ブランドのシェアはすでに57%に達した。25年には中国国内の人型ロボットの完成品を製造する企業はすでに140社を超え、発表された製品は330モデルを超えた。

日本は「半導体強国時代」とは異なる取り組みへ

AIの普及に伴い、世界の半導体市場規模は35年までに約190兆円規模に達すると予測されている。日本はかつて世界の半導体強国であり、世界シェアは約50%に達していたが、今では10%以下にまで低下した。

しかも、日本の現在の強みは主にシリコンウエハーや感光材、高純度ガスなどの「半導体の材料」や、洗浄装置やコーター・デベロッパー(感光材塗布装置)といった「半導体関連装置」であり、スマートフォンやAIの計算を司る最先端の演算チップやデータを保存するメモリ、さらに高度な計算アルゴリズムをチップの回路図に落とし込む「上流の設計」の部分でも世界に後れを取っている。

日本は現在の約8兆円の半導体売上高を40年には40兆円に引き上げる目標を立てている。このことは資本の投下、人材の確保、電力使用、産業の協働において非常に大きな試練をもたらす。

特に注目すべきは、今回の日本成長戦略は単純に「チップ製造」の拡大を追求するのではなく、ロボット、自動車、工場自動化などによるAI需要への対応を重視し、システム全体の必要性からチップの設計と製造を逆算する方式の導入で未来のスマート化サービス型ロボットの発展と市場競争のための新たな力を創造することに焦点を絞っていることだ。

日本にとっての目標達成の鍵の一つは、これまでの産業用ロボットの強みをAIロボットの完成品と分野横断型の土台づくりの能力に転換できるかどうかだ。二つ目は、単なる研究室やデモンストレーションプロジェクトではなく、再現可能な応用シーンを形成できるかどうかだ。三つ目は、米中以外の真に「第三極」としての規模、特にコスト競争力を形成できるかどうかだ。すなわち、「中国が米国に食らいついて獲得した縄張り」に、日本がさらに食い込めるかどうかが重要だ。

日本は他の分野でも「中国の縄張り」に食い込む

日本の現在の動きには、その他にも「中国の縄張り」に食い込もうとする部分がある。例えばレアアース関連だ。日本政府は今年2月、南鳥島海域でレアアース泥の採取に成功したと発表し、実験が成功すれば27年に商業採掘を開始する見込みと発表した。高市首相とトランプ米大統領の会談でも、日米はレアアースでの中国への依存を減らすためにレアアース採掘で協力することが合意された。

日本は産業における永久磁石の強みを固めることを極めて重視している。永久磁石は電気自動車の駆動モーターと風力発電の鍵となる部品であり、世界の需要が激増すると予測されている。

日本は中国以外で高性能磁石を供給できる能力を持つほぼ唯一の国ではあるが、永久磁石の主要な原材料については依然として、中国からの重レアアースの供給に極めて強く依存している。

日本はこの束縛から脱却するために、重レアアースを含まない、あるいはいかなるレアアースも含まない磁石技術の開発に集中的に投資し、また使用済み製品からレアアースを回収して再利用する仕組みを確立し、安定した生産能力を確保する方針だ。(翻訳・編集/如月隼人)

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