重慶市巫山県の行政中心地は山に囲まれ起伏が多く、住民は坂や階段を上って移動しなければならない。都市の中軸線にある「神女大道」は、高低差のある街の高台と低地を結ぶ1136段の階段で、徒歩では1時間を要する。

階段を使わない場合は、つづら折りの山道を遠回りしなければならず、渋滞にも巻き込まれやすい。そのため、地元住民は街を縦断する、より便利な交通手段の実現を切望していた。

そんな中、2月に神女大道の階段の横に「神女大エスカレーター」が設置され、テスト運用がスタートした。エスカレーターの長さは約905メートル、垂直高低差は約242メートルで、80階建てのマンションに相当する。エスカレーター21基、エレベーター8基、動く歩道4基などからなり、政府機関や病院、学校、埠頭といった都市の機能ポイントをつないでいる。5万人以上の住民が益を受けており、高低差のある街の高台と低地の移動にかかる時間が1時間から20分に短縮された。神女大エスカレーターを利用した市民や観光客は延べ132万人に達している。

向馮(シアン・フォン)さんの家は山の麓の川辺、神女大道の階段の最下位部にあり、子供が通う学校は山の中腹にある。直線距離ではわずか600メートルほどだが、階段を上ると30分以上かかってしまう。

巫山県住宅・都市農村建設委員会の関係責任者は、「2002年に階段が完成した時に、電動エスカレーター建設の考えもあった。しかし当時は技術も資金も足りなかった」と振り返る。

近年、アーバン・リニューアルが加速しているのを背景に、神女大エスカレーターのプロジェクトもまた検討されるようになった。

巫山県は実用的でコストを抑えるという原則に沿って、専門機関を通して調査・設計を行い、12種類の建設案を検証した結果、最終的に電動エスカレーターを設置する案に決定した。さらに、民意調査を複数回にわたって実施し、「皆が大エスカレーター建設を非常に支持してくれた」という。

民意をしっかりと確認し、周到な計画と論証を経て、24年6月にプロジェクトの土木工事が始まった。

山に囲まれ起伏が多いため「山城」と呼ばれる街の景観や人情味あふれるムードを最大限残すために、神女大エスカレーターの設計にはさまざまな工夫が凝らされた。中腹部や上部区間に高架形式の連絡通路でつなぐ形でエスカレーターを設置することで、周辺の店舗の経営や歩行者の通行に影響を及ぼさないように工夫されている。また、低地となる川沿いの区間では地上にエスカレーターを設置することで、コストを抑えると同時に安全性も確保した。工事は傾斜40度の坂やカルスト地形の柔らかい地盤、限られた狭い空間、複雑な配管といった難題にも直面し、建材の多くは作業員が手作業で運んだ。また、杭基礎は地下20~50メートルまで打ち込んで、安全性を確保する必要があった。そのため、現地の住宅・都市農村建設委員会は特別資金を設けて、施工期間中の民生問題をうまく解決し、工事が円滑に進むよう取り計らった。

神女大エスカレーターは住民の移動を巡る難題を解決しただけでなく、散在していた都市の公共空間の「主動脈」を一つに結んだ。それは、都市のスロー交通システムにおいて重要な位置を占めているほか、路線バスとの効率よい連携についても考慮されており、住民がグリーンに移動し、交通混雑を緩和できるようリードしている。(提供/人民網日本語版・編集/KN)

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