中国メディアの騰訊新聞は、中東危機を契機に東南アジア諸国でエネルギー安全保障への危機感がかつてないほど高まり、中国の新エネルギー企業にとって巨大な商機が生まれていると報じた。

記事は、タイで太陽光発電事業を手がける企業の会長が「タイ人がこれほどの危機感を抱く姿は見たことがない」と語ったことを紹介。

電気代の高騰を背景に屋根置き太陽光パネルの需要が爆発的に増加し、ある設置業者では週当たりの成約件数が約10倍に急増したと伝えた。

また、こうした現象の背景には東南アジア全域に共通する構造的な脆弱性があると指摘。フィリピンは石油の96~98%をペルシャ湾に依存し、ベトナムやタイも80%以上を頼っている現状を挙げ、原油価格の高騰が物流コストの増大や生活物資のインフレという形で市民生活を直撃していると分析した。

その上で、各国政府が相次いでエネルギー政策の転換に動いていることに触れ、ベトナムが国家電力開発計画で蓄電システムの導入を明文化し、タイも25年から新設太陽光発電所に蓄電設備の併設を義務づけたと紹介した。

さらに、マレーシアではデータセンター向けのグリーン電力需要が急拡大しているとし、いずれの状況も中国企業にとって大きな商機となっているとの見解を示した。

記事は一方で、中国政府による太陽光関連製品の輸出還付金廃止でコストが上昇する中、企業は東南アジア各国における制約も相まって厳しい消耗戦を強いられていると指摘。タイでは利益率の高い政府・軍関連案件を現地企業が独占し、中国企業が主戦場とする工場向け太陽光発電は激しい価格競争で利益がほぼ残らない状況だと伝えた。

また、ベトナムでは米国による301条調査の再開で企業が投資に慎重になっていると伝えた。

記事は、燃油価格の上昇を背景にタイでは電気自動車(EV)の浸透率が23年の10%から現在は50%近くまで上昇し、26年1月には中国ブランドのシェアが日本車を初めて逆転したと紹介。電動バイク市場でも中国企業が攻勢を強めていると伝えた。

そして、今回の危機を経てエネルギー転換は単なる「気候変動対策」から国家の存立に関わる「安全保障上の最優先課題」へと性質を変えたと総括。この認識の変化そのものが、中国の新エネルギー企業にとって東南アジア市場参入の大きなポイントになると論じた。

(編集・翻訳/川尻)

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